大学生の認知度は半数、利用は1割止まり

では、当事者である学生たちは、ChatGPTについてどう感じているのか。

大学の初回講義内で、受講生の実態を知るためにアンケートをとってみた。有効回答者数は164名、1年生が約半数を占め、1〜4年生まで参加しており、男女比はほぼ半々だ。

「ChatGPTについて知っていましたか?」という質問に対して、「知っていたし使っていた」は10.4%、「知っていたが使っていない」は45.1%と、認知率は半数強にとどまる。「名前は聞いたことがあるがよくわからない」は15.9%、28.7%と約3割は「知らなかった」と回答している。

【図表1】質問「ChatGPTについて知っていましたか」
筆者の講義に出席する大学生のChatGPTの認知率。「知らなかった」という学生は約3割だった

ニュースに取り上げられない日はないほどの盛り上がりを感じるが、「この講義で初めて聞いた」という学生も複数名いた。

講義内で使わせようとしたが、学内のネットワークからは弾かれ、講義内では利用できなかった。そこで自宅で使った感想をミニレポートとして提出してもらったところ、「当大学について聞いたら間違った学部があることになっていた」「要約や調べ物などには便利そう」などの感想があった。

Z世代でも「新しいものが怖い人」はいる

感想の最後に「これは練習としてChatGPTを使って書きました」と早速活用する学生が数名いる一方で、「メールアドレスの登録が必要なので、自己判断で使いませんでした」とした学生も複数名いた。

新しいものに対して腰が重い学生もいることがわかっていたので試す機会としたかったが、仕方がない。Z世代だからといって誰でも抵抗なく新しいものを受け入れられるわけではないのだ。

「適切な利用方法で効率化や生産性を上げることには賛成。うまく使うことで学習の質も上げられるのでは」などの期待の声に混じって、「レポートや読書感想文なども書けてしまうので思考力が下がりそうで注意が必要」「法制度が整っていないので必要ではないか」といった懸念点を挙げる意見も多かった。

大学生らしく、「エントリーシートなどに悪用されてしまうのが心配」「エントリーシートに活用できるとSNSでよく見かけるのでうまく使いたい」と、エントリーシートへの言及も目立った。

受講生が多いため、昨年までは主にレポートで学生の理解を図り、単位を出していた。しかし、今年からは少なくともレポート提出のみで単位を出すことは難しいと考え、講義の評価方法も変えざるを得なかった。あえてChatGPTを使ったレポートを全員に書かせる課題なども出したいと考えるが、依然模索中だ。