株価下落→預金流出の負の連鎖はまだ続く
今後、株価が一段と下落すれば、預金者は自分の銀行が危ないとの不安に駆られ、預金を急いで引き出そうとするだろう。すでに確認された通りSNSを介した群集心理を抑えることは難しい。
短期的に株価下落、預金流出という負の連鎖反応は増幅されやすい。それに伴って米国では銀行の融資態度が一段と硬化し、労働市場、個人消費など実体経済への下押し圧力も強まる。加えて、米国のインフレ率は依然として2%を上回っている。FRBが金融システムの安定に配慮しつつ金融引き締めを続ける可能性も高い。
今年後半、米国の景気後退懸念は高まり、世界経済の先行き不透明感も一段と高まりそうだ。そうなると、わが国の景気に下押し圧力がかかることは避けられない。そのタイミングで米国の中堅銀行の経営不安が一段と高まる可能性がある。
今すぐではないにせよ、わが国の金融セクターでも、一部の銀行から他の銀行へ預金を移し財産を守ろうとする人は増えるかもしれない。現状、普通預金では元本1000万円まで保証されるが、そうしたリスクを考えると、わが国にとって預金保険制度の内容を国民により分かりやすく伝える意義は増している。米国で検討され始めたように、預金保険の制度拡充に向けた議論を進める必要性が出てくるかもしれない。