「50万円のUSBメモリ」を売りつけられる
ある程度、自分も成功したいという気持ちが出てきた辺りで、本題に突入します。
USBメモリを取り出して、これを使えば投資で必ず勝てると言われるようです。
多くの学生は投資については詳しくありません。そのため、USBメモリをパソコンに挿して、取引をするだけで確実に儲かる、などということは絶対にあり得ないと気づかないことが多いようです。
驚くのはUSBメモリの値段で、だいたい50万円前後を提示されることが多いようです。
当然、学生がそれだけの金額を一括で支払うことなどできません。
そこで、USBメモリの購入意思を示すと、丁寧に学生ローンまでついてきてくれて、ローンの組み方を手取り足取り教えてくれるそうです。
そして50万円の借金とともにUSBメモリを手に入れた学生は、家でワクワクしながら取引を開始するのですが、1週間もしないうちに騙されたことに気づくのです。
10人に売りさばけば50万円は回収できる
騙されて借金が残るだけならまだいいのかもしれませんが、この詐欺にはもう一つ恐ろしい仕掛けが用意されています。
それは、いわゆる「ねずみ講」のモデルです。
このUSBメモリを1つ売るたびに、5万円のキャッシュバックが発生します。
ということは、10人に売りさばけば、ひとまず自分が払ってしまった50万円は回収できることになるのです。
しかし、プロの詐欺師でもない学生が他人に売りつけるのは大変です。そこで、自分に近い親友や同級生に詐欺を働くことになるのです。
騙されて借金を抱えるだけなら、自分で働いて返せばおしまいですが、自分が詐欺をする側に回ってしまうと、お金では買えない親友も失ってしまうのです。加えて、詐欺罪で逮捕される可能性だってあります。
これまで築いてきた信頼を失い、さらには「詐欺師」や「犯罪者」という肩書を手に入れることになってしまいます。
個人的には借金以上にこれらの損失のほうが恐ろしいと感じます。
金融リテラシーを身につけるのは、このような詐欺から身を守るためでもあるのです。