4月14日から始まる新番組「オールナイトフジコ」(フジテレビ系)は、32年前の伝説の深夜番組「オールナイトフジ」を下敷きにしている。社会学者の太田省一さんは「『オールナイトフジ』はテレビに素人を出す当時としては画期的な番組だった。『オールナイトフジコ』はその伝統を受け継いで、MCに元テレビ東京社員である佐久間宣行さんを選んだのではないか」という――。
フジテレビ
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伝説の深夜番組「オールナイトフジ」の内容

フジテレビの深夜番組『オールナイトフジ』。1980年代に青春を過ごしたひとにとっては懐かしい響きがあるはずだ。その『オールナイトフジ』が『オールナイトフジコ』とタイトルを改め、なんとこの4月、32年ぶりに復活する。当時、この番組のどこが人気で、新しかったのか? その頃の世の中の様子も踏まえながらこの機会に振り返ってみたい。

『オールナイトフジ』は、いまからちょうど40年前の1983年4月にスタートした長時間生バラエティ番組。(1969年から1975年にかけても同名番組が放送されているが、『オールナイトニッポン』のテレビ版で基本的に別の番組と見ることができる)。

土曜深夜の放送で「サタデーナイトは オールナイトフジ!」の掛け声で毎回始まっていた。

メインMCは女性若手芸能人が務めるのが恒例で、初代は秋本奈緒美と鳥越マリ。松本伊代や麻生祐未がMCだったこともある。片岡鶴太郎やとんねるずなどがレギュラーとして番組を盛り上げた。

「放送終了時間未定」

この『オールナイトフジ』は、なにかと斬新な番組だった。

たとえば、番組の終了時間が決まっていなかったのもそのひとつ。毎回オープニングにその日の内容のタイムテーブルが画面に流れるのだが、その際「放送終了時間未定」となっていた。

スポーツ中継などは別だが、たとえ生放送でもテレビのバラエティ番組が延長されることなどは基本的にない。だがこの番組は違っていた。むろん深夜ゆえに融通が利くということもあったが、それでも「放送終了時間未定」というテロップには地味ながらインパクトがあった。

そこにはテレビの既成の枠組み、その窮屈さを打破しようというスタッフの並々ならぬ意気込みが感じられる。「なんでもあり」と口で言うのはたやすいが、それを本気で実行に移そうとしたのがこの『オールナイトフジ』だった。