3日で200台を急遽生産した

いま思えば、シンプルというか、粗雑だったのですが、3月20日に完成した。でも東北には縁もゆかりもなかったので、Twitterに段ボールベッドを無償提供しますと投稿したんですよ。そうしたら、石巻赤十字病院から受け入れたいというメッセージが届いた。うちの4トントラック一台に積み込める200台の段ボールベッドを急遽3日でつくりました。従業員みんなが無償で協力してくれたんです。

そして3月31日金曜日に大阪を出て、翌4月1日に石巻に到着しました。最初の段ボールベッドは、高齢者や要介護者を集めた福祉避難所で使用されました。

――はじめての段ボールベッドはもっとも必要とされる避難所に設置されたわけですね。現在、避難所で段ボールベッドを使用するのは常識となっています。段ボールベッドにはどんな効果があるのですか?

避難所で段ボールベッドを使う理由は、大きく2つあります。

ひとつは健康被害を防ぐという面。避難所の床にはホコリや目に見えないウイルスが漂っています。床に雑魚寝してしまうとホコリを吸い込んで肺炎を引き起こしたり、インフルエンザやノロウイルスに罹患りかんする恐れもある。昨今では新型コロナウイルスもそうですよね。ただ床から20センチ以上高い位置に寝るとホコリの吸引がほとんど無くなると言われている。段ボールベッドの段差が避難所生活で大きな役割を果たすのです。

「高さ35センチ」が災害関連死から被災者を守る

床に長時間にわたり、直接座っていると何が起きるか。まず1時間もしないうちに足腰が痛くなり、立ち上がるのがしんどくなる。とくに高齢者は足腰がつらくて、昼も夜も横になる時間が増えてしまう。そうするとADLと呼ばれる日常生活動作が一気に下がり、生活不活発病になる。

――生活不活発病は、動くことが億劫になり、心肺機能が低下し、筋量も減少する症状で、東日本大震災で多発して問題になりました。

雑魚寝が長引くと高齢者にとっては、トイレに立つのも一苦労です。トイレに行く頻度を減らすために水分摂取を控えた結果、血液がドロドロになり、血栓ができてエコノミークラス症候群を引き起こす。最悪の場合は命にかかわります。段ボールベッドの高さは35センチ。車いすとほとんど同じ高さです。椅子のように腰掛けられる。トイレや着がえ、歯磨きのために立ち上がる動作の負担も少ない。災害前の日常生活を維持しやすくなる。

2016年4月、熊本地震発災直後の避難所。避難者は不衛生な床で過ごしている。
撮影=水谷嘉浩
2016年4月、熊本地震発災直後の避難所。避難者は不衛生な床で過ごしている。

ポイントが、この35センチの高さです。冬の北海道で行った研究では床に比べて、段ボールベッドの方が約10度も温度が高いという結果が出ました。段ボールには空気の層があるから保温効果があります。何よりも、この35センチの高さが、避難所での低体温症や、生活不活発病、感染症などから被災者を守り、ひいては災害関連死を防ぐのです。