引き出しの中身を「回転」させる重要性

空きスペースは意識してつくる/書棚に空きがあれば、資料が山に埋もれることがなくなる。目当ての資料へのアクセスに時間がかかることは、絶対に避けたい。ジャンルごとに整理し、仕事が終われば透明のケースに詰めて倉庫にしまっている。

書棚の整理でも、アクセスの早さがテーマになります。ジャンルごとに並べているので、本の高さはあまり揃っていません。しかも予備のスペースを確保しているので、見た目は雑然としています。スペースをつくるのは、そのジャンルに新たな本が加わっても二段置きや横置きをしないで済むからです。背表紙が一覧できなければ、効率よく本にアクセスすることはできません。

デスクまわりを考えるうえで、意識しているのは「回転率」です。デスクに備え付けの引き出しを思い浮かべてください。文房具や資料が入れたままになってはいないでしょうか。それは引き出しのなかのツールが「回転していない」状態といえます。デスクの引き出しは大きすぎるうえに数が少ないので「回転率」が落ちるのです。私はA4サイズの書類がゆったり入るタイプのクリアチェストを愛用しています。段ごとのインデックスは以下の通りです。

「企画メモ」「文房具類」「領収書」「保証書」、いつか役に立ちそうな気がする物を入れる「捨てがたし」、ゆっくり考えたほうがよさそうな資料を収納する「よく考えてみよう」……。各々の好みや職種、必要に応じて変えてください。「早起き野球」や「引っ越し」があってもいいですが、「緊急」の段はつくらないほうがいいでしょう。早くしなければならないのに箱に入れただけで満足してしまう危険があります。

積み上げ型の透明キャビネット/タスクごとにA4紙や書籍、DV Dなどをまとめて入れておくとアクセスが早い。段重ねできるタイプだと必要に応じて増設できる。使っているのは吉川国工業所「Like-it MEDIX A4ファイルユニット」。ひとつ1200円前後と安価なことも有効な要素。

自分には何が必要なのか。それはその人の個性や能力、仕事の内容によってそれぞれ違います。「おのれを知る」ことが自分に合ったツールを見付ける第一歩であり、使いこなす条件になってきます。私は忘れっぽいので、思いついたアイデアはすぐメモにとっておきます。このとき筆記具がないと大変困ります。ノートは割り箸袋や左手などで代用できますが、書きつけるものがないとお手上げです。そこで手持ちのすべてのカバンに筆記具を常備するようになりました。忘れることを前提にあらかじめ入れておくわけです。

読解力を上げる付箋の使い方/紹介されている文献が気になれば横に、読み手の関心に沿って 「使える」と思えば縦に付箋を貼り、書き手の主張に沿って「面白い」と思ったら角を折る。これらが再読の質を格段に上げる。

付箋は、筆記具や名刺、2000円ほどの現金などと一緒に常備しているツールのひとつ。本を効率よく読むうえでは欠かせません。お勧めは小さくて安い「ポスト・イット(ミニ)」。読み進めながら、読み手の関心に沿って「使える」と思った個所には本の上部に、手に入れたい資料や文献の書かれた部分には横に付箋を貼ります。また書き手の主張に沿って面白いと思ったらページの角を小さく折り、ときには感想などを書き込みます。一読してからチェックを辿って5分ほど再読すると、理解力は数段上がります。コツは上部の付箋と折り目はそれぞれ10カ所程度にすること。あまり多くマークするとどこが重要なのかわからなくなってしまうので注意が必要です。