「私たちが会社をつくったときに感じたのは、起業したほうが間違いなく得だな、ということです。自分たちでものがつくれるから、人への投資資金が少なくてすむ。方向転換もしやすい。なのでリスクも少ない。そういうロジックで考えると、高専生は起業に有利なんです。そういうことができる能力を在学中に磨いておけば高専生は社会でもっと価値ある人材になると思います」(板橋代表)

あいつが賞をとったのなら俺も

佐世保高専(長崎県)もスタートアップ人材の育成に力を入れる高専の一つだ。

「佐世保高専から社長を出してほしい」と、東田賢二校長(当時)から頼まれ、入江英也准教授が同校にやってきたのは4年前。入江さんはIT企業、ユウシステム(福岡市)の代表取締役社長でもある。

着任すると、「EDGEキャリアセンター」を立ち上げ、副センター長を務める。入江准教授はその役割について、こう説明する。

「今までのエンジニアは言われたことだけをやっていればよかったんですけれど、これからの時代は、社会のニーズに合わせたものづくりを考えていかなければいけない。ものづくりだけではなく、『ことづくり』ができることを求められる。そういったものを身に付けてもらうための組織です」

先に紹介した東京高専の組み込みマイスターと同様、高専生がDCONなどのコンテストにチャレンジするのをEDGEキャリアセンターはさまざまな面から後押しする。

EDGE活動への参加者(のべ人数)は、19年は17人にすぎなかったが、20年は68人、21年は237人と、どんどん増えた。

「学生たちの口コミで広まった感じです。活動の参加者が、面白かった、とか。コンテストに出場して、あいつが賞をとったのなら、俺もやってみよう、とか。彼らは面白いものを提供されると頑張ります。EDGEはそのスイッチを入れるんです」

ふるさと納税で1000万円

ユニークなのはEDGEキャリアセンター独自の財源確保の手法だ。22年度は企業からの寄付金以外にも、ふるさと納税の仕組みを利用して約1000万円を集めた。