20代が習得しておくべきスキルと知識とは

続いて、『プレジデント ウーマン』の木下明子編集長が登壇。プレジデント総研では若手向け研修を作成中で、これをより効果的な内容にするため、プレジデントオンラインとプレジデントウーマンオンライン読者のうち35歳までの現役会社員、男女72名を対象にアンケート調査を行ったそうです。

そして、調査結果から見えてきたこととして、4つのポイントを挙げました。1つ目は、将来の働き方として半数近くが「ワーク&ライフを追求して働きたい」と考えていること。2つ目は、キャリア意識を醸成するための研修に関して「必要」という回答が約8割に上ったことから、若手でキャリア研修を受けたいと考えている人は多いと思われること。

3つ目は、若手が20代のうちに習得しておきたい、または習得しておきたかったと考えるスキルについて。アンケートでは、ファイナンス(決算書などの見方)、ロジカルシンキング、プレゼンテーションスキルの3つが多くの票を集めました。これらは「20代が学びたい3大スキル」と言えそうです。

配信の様子
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

4つ目のポイントは、若手社員は「将来リーダーになるためには、20代のうちから人の動かし方・巻き込み方を身に付けたい」と考えているということ。アンケート結果ではこの回答が実に75%にのぼり、プロジェクトマネジメントやアンガーマネジメント、リーダーシップといった他の選択肢を大きく上回りました。

「私たちは現在、こうした結果を反映させながら『若手社員向けキャリアデザイン研修』の作成を進めています。当初は女性向け研修として考えていましたが、会員の皆さまからご意見をいただき、男女とも受けられる研修としました。形ができたらまずは体験会を行い、皆さまのご意見を反映したうえで2023年春ごろにローンチしたいと考えています」

木下編集長はこの研修について、現段階のプログラム内容や目指すゴール、年間スケジュールなども説明。「20代から管理職を目指すマインドセットを身につけておくことが大事。そうすれば、30代でライフイベントを迎えてもキャリアアップへの意識を持ち続けられるはずです」と呼びかけました。

その後、質疑応答を経て参加者によるグループディスカッションへ。各グループには宮原さんと木下編集長も加わり、今回の講演内容や自社のダイバーシティの問題点など、約40分間にわたって意見を交換しました。

ダイバーシティ推進における都市部と地方との意識の差について、育休や時短勤務からの復帰について会社側が持つべき姿勢について、育休や時短勤務中の代替要員について──。参加者はさまざまな議題について話し合い、各自の取り組みも共有。同じ人事・ダイバーシティ担当者として、大いに刺激になった様子でした。

グループディスカッションの様子
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

構成=辻村洋子

宮原 淳二(みやはら・じゅんじ)
東レ経営研究所ダイバーシティ&WLB推進部長

資生堂に21年間勤務し、多岐にわたる業務を経験。中でも人事労務全般に携わる期間が長く、人事制度企画から採用・研修まで幅広く担当。男女共同参画・ワークライフバランスの分野では社内で中心的な役割を担い、社員の意識調査や先行他社事例などを研究し実践した。2011年より現職。ワークライフバランス、ダイバーシティ、業務効率化などをテーマとした講演も多数。

木下 明子(きのした・あきこ)
プレジデント ウーマン編集長