
「業界トップのハインツ」の隣を死守
「スーパーのオリエンタル食品コーナーには、ヨシダのグルメソースは絶対に置かない。業界トップのハインツのバーベキューソースの隣に置く、と最初から決めていた。ところが、周りからはヨシダのソースが何様のつもりだ、いい気になるなと言われた。『コンチクショー! 今に見てみい』という反骨精神でここまで突っ走ってきたんや」
ヨシダグループ会長の吉田潤喜(75)は、1982年創業当時をこう振り返る。
「ヨシダのグルメソース」といえば、カウボーイハットを被った満面笑顔の吉田の顔がトレードマークだ。ある時はエルビスプレスリー、ある時はカウボーイハットと下駄、着物姿で店頭に立ち実演販売を始めたことでも、吉田は知られている。
全米大手スーパーのソース売り場では、このトレードマークのボトルがハインツのソースと並び、ロングセラーとして根強い人気を誇る。
味のベースは日本の醤油だが、アメリカで当時知られていた日本のテリヤキソースとしてではなく、どこの家庭でもおなじみの「バーベキューソース」として売ることにこだわった。
そのソースは今や日本など海外11カ国でも販売され、年商250億円のヨシダグループ18社の基幹事業に発展した。

秘訣は「人儲け」と「思いやりの心」
日本では、30~40代の女性の間で、焼肉や煮物、炒め物に使える万能調味料としてSNSで広がり、人気を集めている。

吉田は2001年、その功績がアメリカの中小企業局に認められ、50周年記念に選んだ全米24社の中に、FedExやインテル、AOL、ヒューレットパッカードなど並んで「殿堂入り」した。
また、2005年には、雑誌ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100」にも選ばれた。
成功の秘訣は?と聞かれる度に、吉田は必ず満面笑顔でこう答える。
「金儲けの仕方は? 成功の秘訣は?と、よう聞かれるけどな、人に好かれて信頼されて、人から頂いた恩を返す『人儲け』と、相手の立場を思う『思いやりの心』」が一番大事や。商売にも、人生にも、その心しかないんちがうかな」