女性がさまざまな場で活躍するようになっても、まだまだ日本では女性の昇進意識は低く、女性リーダーはプライベートとの両立が大変などと思われがち。そこで、管理職約1200人と一般社員約400人の男女に、昇進意欲から、幸福度、スキル、プライベートなどについて大調査&比較をしてみた。そこで出た、意外な結果とは――。

【TOPIC1】昇進意欲と昇進後の幸福度

女性の幸福度は上に行くほど急上昇

男女そして、一般社員と管理職の昇進意欲から比較してみた。一般社員の男女共に積極的に管理職になりたい人は1割強(Q1)。しかし、すでに管理職の男女は3〜4割程度が積極的に管理職を目指していたうえに管理職になってからの幸福度も高かった(Q2・Q3)。

一般社員に聞きました Q1あなたは管理職になりたい?
管理職に聞きました Q2管理職になりたかった?
Q3管理職になった時点での幸福度は?

「気になるのは、男女の意識の差です。現在管理職の人たちでは、管理職を目指していた割合も、昇進時の幸福感が高いのも男性(Q2・Q3)でした」と、東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部部長の宮原淳二さん。

「これは、男性のほうが会社で昇進していくロールモデルをたくさん見てきたことが理由にあるでしょう。世間体、同僚との比較、家族からの期待なども含め、男性には仕事での昇進や成果が大きな評価指標になってしまうところがあります」

一方で、女性には仕事以外の多様なライフスタイルの選択肢があるとともに、こうなりたいという管理職のロールモデルはまだまだ身近に少ない。自分が管理職になることを描きづらい状況にあるのだと宮原さん。

しかし実際、役職者として働き始めると状況は変わってくる。現在の幸福度を見ると、男女共に役職が上がるほど高いが、女性のほうが相対的に高いという結果が出た(Q4)。

Q4あなたの今の幸福度は?

「女性たちは管理職になることに不安を抱えているものの、やってみたら良かったと感じられる人が多かった(Q5)。処遇が上がることで、意思決定できる範囲も広がり、給与も自尊心も上がるものです。時間もお金も自由になる幅が広がることで、気持ちが変わる人も多いでしょう」

Q5管理職になって良かった?

今は男女関係なくワーク・ライフ・バランスを重視し、幸福度高く働き続けることを求める人が増えている。今こそ新たな管理職像をつくるときだと宮原さんは主張する。

「『大変だ』と謙遜する女性管理職も多いですが、真に受けて恐怖心を持つ後輩も。管理職になって良かった点を伝えていってほしいですね」