みんなが満足する解決策はない

解決策を考えるときに、多くの人は、「みんなが満足する解決策」を考えようとします。

でも、残念ながら、世の中の大半の問題には、すべての人が満足する解決策はありません。ほとんどの問題は、これまでに頭のいい人たちがあれこれ考えたりしているので、誰も損をしない解決法があれば、すでに実現しているはずなんです。

だから、解決策を考えるときには、「誰かは損するけど、こういうかたちでやったら、もう少しうまくいく」とか、「ある程度のマイナスを許容してプラスにする」という方法しか、たいてい残っていません。

なので、「国民全員やすべての利害関係者とか、みんなが満足する解決策は基本的にもうないよね」という前提を、まず受け入れるところから考えたほうが近道だと思います。

もちろん、誰にもメリットがない解決策だと問題解決にはなりません。なので、解決策を考えるときには、まず「みんな」ではなく「誰にメリットがあるかたちがいいのか」を最初にはっきりさせることが大事です。

最適解を選んでも誰かが損をする

では、ビジネスの問題解決の場合は、誰のメリットを考えればいいのでしょうか?

答えはシンプルで、「決定権を持っている人」です。

僕は初めて仕事をする相手には、必ず「この仕事は誰がOKを出したら進むのですか?」と聞くようにしています。決定権を持っていない人の意図に合わせて、いくらクオリティの高いものを提案しても意味がないですからね。なので、最初に決裁者がどんな意図や目的でやりたいのかを明確にさせます。

たとえば、ある人が自ら会社を立ち上げて、たとえ赤字になっても成功するまでやり続けると決めたプロジェクトがあるとします。

ふつうなら利益の最大化が会社にとってのメリットなのですが、この場合、利益よりも社長の「このプロジェクトを成功させたい」という思いのほうが重要なんですよね。だとしたら、たとえ万年赤字であってもプロジェクトを続けることこそが正解になるんです。

というわけで、解決策を考えるときには、最初に「誰にとってのメリット」が求められているのかを確定させます。「誰にとって」の「誰」は自分の場合もありますし、お客や上司、奥さんの場合もあるでしょう。

一方で、ターゲットを絞ると、導き出した解決策に不満を持つ人も出てきます。でも、みんなが満足する解決策はないので、そこはもう割り切るしかありません。

たとえターゲット以外の人たちが納得しなかったり、マイナスをこうむる解決策であっても、ターゲットが納得しているのであれば、それが最適解だと思います。