ドアからドアを最短距離で結んだ線が「動線」
ところで、「動線」はどこにあると考えれば良いのでしょうか?
基本的には部屋と部屋の移動のライン、つまりドアとドアを最短距離で結んだ線が効率的な「動線」になります。また室内から、お庭やバルコニーなど、外部への出入りになる掃き出し窓を結んだラインも「動線」です。多くの作業をするキッチンの場合、料理や食材・食器の出し入れなどの作業をする家具をつなぐラインも「動線」の1つです。
ただし、必ずしもすべてのドアとドア、掃き出し窓をつなぐ必要はありません。例えばリビングから庭に出る掃き出し窓が2か所ある場合、理想的にはそれぞれの窓に向かう動線を確保するべきです。しかし、どちらも庭に出るという同じ機能の動線ですので、どちらかの動線だけにしてしまっても良いのです。
動線の幅は、その人の体格にもよりますが、人が1人で動く場合は60~70センチ以上、2人ですれ違う場合は約110~120センチ程度必要です。また、リビングセットやダイニングセットなど、家具の周囲にも最低でも60センチ程度の動線が必要です。
ですので、とくに狭い部屋では、同じ機能を持つ複数の動線は1本にまとめてしまうなど、必要最小限にすることが、部屋を広く使うためには大切です。
この動線ですが、人の動くラインですので、そのライン上には障害物となる家具などを置くことはできません。つまり、「部屋○○畳」と間取り図に記載されていても、実際には動線部分を除いた空間にしか、家具などを置くことはできないのです。
それでは、どのようにして、家具などを置くことができる広さを確認するのでしょうか?
実際の間取り図で見てみましょう。
動線部分を除いた広さが、家具を置ける空間
図表1は「LD12畳」2階建て戸建ての間取り図です。
この間取りの中で、動線を確認します。まず、動線①のように、廊下からリビング・ダイニングに入りキッチンや収納・洗面室に向かう動線(矢印)が1本あります。
そして動線②のように、廊下からリビング・ダイニングに入り、庭に出入りする掃き出し窓に向かう動線(矢印)も1本あります。
この2本の動線を含む、斜線を引いた「3畳」部分には家具などが置けません。そのため「LD12畳」から動線「3畳」を除いた「9畳」部分(黄色の部分)が、この部屋の家具などが置ける広さになります。これが間取り図からは読むことのできない、実際の部屋の広さなのです。このように、動線の位置や、家具を置くことができる実際の広さを知ることが、インテリアを考えるうえでは、とても大切になってきます。
では実際に、部屋の動線を確認し、実際の部屋の広さから、適切な家具を選び設置する方法を、解決例で、詳しく見ていきましょう。