なるべく早く、金融資産をNISA口座に集めるべし

では、NISAを最大限に使うにはどうしたらいいでしょうか。

「金融資産をNISA口座に早く寄せること」が答えになります。新しいNISAでは一人あたり年間360万円投資することが可能ですが、例えば、毎月30万円の積立投資をしたらどうなるか、各自で考えてみてください。

「毎月30万円は無理だ」と思う方が多いかもしれませんが、銀行預金や現在活用中の証券口座の資産を取り崩して生活費に充てると、しばらくは可能だという方が少なくないのではないかとも想像します。こうした方は、当初は大きめの金額をNISAに充てることによって、結果的に、持っている金融資産をNISAに早く集めることができます。

尚、「毎月30万円」は話を簡単にするための例です。一括投資が可能なら年間360万円を一度に投資しても構いません(年一回の積立投資になります)。いわゆるドルコスト平均法で投資したからといって、持っている資産のリスクが縮小するわけではないので、分割投資には気休め以上の意味はありません。

また、特に若い投資家は「まとまったお金ができてから投資しよう」と思うかもしれませんが、むしろ「まとまったお金を作るため投資する」と考えて一月に1万円でもいいので、NISAの利用を始めましょう。初期設定と積立投資の習慣ができたら後が楽です。投資金額は後からおいおい増やすといい。

スマートフォンで株式チャートを確認する手元
写真=iStock.com/ArtistGNDphotography
※写真はイメージです

生活が苦しくなったら部分的に換金すればいい

仮にNISAにお金を集中しすぎて生活費が足りなくなった場合には、投資を部分的に解約して換金することができるので、NISAにお金を集めることを怖がる必要はありません。

後でお勧めするような運用商品に投資する場合は、運用期間が短くても、長くても、また時々お金の出し入れがあっても、不利はないので、NISAを「置いておくとお金が増える(かもしれない)お財布」のような感覚で使うことができるでしょう。

もちろん、頻繁にお金を引き出すとなかなか資産形成がはかどりません。老後に備えた資産形成の自分でできる主たる手段がNISAでの投資になるので、NISA口座の運用残高を少しでも高い水準に保つ心構えは必要です。

「NISA口座は、できるだけ大きく使う」。これが、新しいNISAを有効に利用する上での第1原則です。