「あの家庭は偏っている」と校長が密告することも

この時代は天皇を神格化して教える時代に入っている。それが顕著になったのは昭和10(1935)年前後の国体明徴運動(美濃部達吉の天皇機関説を排撃する運動)のころからだという。

子供は、天皇陛下は神様であると作文に書く。家に帰って、天皇陛下は神様ですとその日に習ったことを口にする。お父さんやお母さんが受けた大正時代の教育ではそこまではいっていない。「そんなことないわよ。神様のわけないでしょう」と反論したとする。

それを子供は学校の作文で書く。なかには強い言葉で批判がましく否定する親もいるだろう。作文は、はからずも家庭の思想調査として利用されたケースもあるという。思想的偏りがあると思われるケースは、教員は校長に、校長は都道府県のしかるべき機関などに届けたり、密かに報告したりといったことも珍しくなかったのだ。