バイデン氏は米国内で左右両方から攻撃されている
バイデン政権は、ウクライナが自国領からロシア軍を撤退させる形での勝利が見込めなくなったと認識し始めている、そして、米国世論にウクライナへの「支援疲れ」が表れていることをサイムズ氏が指摘し、それを受けてスースロフ氏は2022年秋に行われる中間選挙にも影響すると述べる。
〈内政的に戦争が長引くことが、11月の中間選挙を前にしたバイデン氏個人にとって好ましいことではなくなっている。米国内でバイデン氏は左右両方から攻撃されている。
共和党支持者、特にトランプ支持者たちは巨額の資金をウクライナに提供することを支持していない。メキシコとの国境警備の予算が不足している、子ども用食品や他の商品も不足していると批判している。
左からも攻撃されている。例えば、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)だ。大統領候補になったこともあるウォーレン氏は、国防総省が400億ドルの対ウクライナ支援について議会で報告し、それが認められなければ、これ以上の予算を支出しないという法案を提出した。
(今後の予測シナリオの)第2ヴァージョンは、ロシアが決定的な勝利を収めて、ドニエプル川よりも先に進んでくるというものだ。これはバイデン政権に破滅的影響を及ぼす。当然、バイデン政権としては現時点での解決を図る。米国の評価が変化し、それが政策の変更につながる〉(同前)
「孤立するのはロシアでなくアメリカ」レシャトニコフ氏の主張
興味深いのが、インテリジェンス専門のレシェトニコフ氏が、国際社会におけるロシアとアメリカの立ち位置に変動が起きる可能性に言及している点だ。
〈ウクライナ問題で米国が抑制的態度をとるのは、一部の地域をウクライナに留めるためではなく、米国や英国の一部の人々が述べているようにロシアが制裁や孤立に耐えられなくなると考えているからだ。最近、イタリアのベルルスコーニ元首相が「西側が残りの世界から孤立している」と述べた。ロシアを孤立させることは難しい。欧米以外の地域で米国が孤立する可能性がある。ところでロシアのヨーロッパに対する利害関心は消滅しない。ドイツ、フランス、さらに他の隣国からもロシアが孤立することにはならないと思う〉(同前)