地元の秋田で育ち、就職し、40歳で管理職に昇進。大好きなメンバーに恵まれて、そこでの日々が当たり前につづいていくと思っていた。そう当時を振り返るのは、住友生命保険相互会社 埼玉中央支社 総務部長兼コンプライアンスオフィサーの新城るみ子さん。新城さんに、思いがけない転機が訪れたのは、入社28年目の47歳のことだった――。

47歳で初の「上京」

思いがけない転機が訪れたのは47歳の時。秋田で生まれ育ち、そのまま地元で就職した新城さんに、思わぬ東京行きの話が持ちあがったのだ。

住友生命保険相互会社 埼玉中央支社 総務部長 新城るみ子さん
編集部撮影
住友生命保険相互会社 埼玉中央支社 総務部長兼コンプライアンスオフィサー 新城るみ子さん

「東京本社で1年間働くキャリアアップ支援制度があるから、『視野を広げてみるのに、どう?』と上司に声をかけられて。最初は『イヤ、無理です』と(笑)。チャレンジしたい気持ちはありつつも、それ以上に目の前の仕事や部下の育成のことで頭がいっぱいだったので、1年離れるなんてとんでもない、と。自信もなくて、何度もお断りしたのを覚えています」と当時を振り返る。

秋田支社に一般職で入社してから28年、保険まわりの手続きから売り上げに関する営業事務、採用などにかかわる総務業務まで、ひと通りの事務を経験した。上司の後押しで管理職になったのが40歳の頃。それから7年後の急な上京話に正直戸惑った。しかし最終的に新城さんは「1年だけなら……」と決め、本社への異動を受け入れる。これが大きな転機となった。

「1年後に帰るから」

本社で内部監査部へ配属された新城さん。北海道から沖縄まで各支社をまわりながら、改善提案をするのが主な業務だ。そこで知ったのが、秋田支社で28年間働いた経験が、全国でも活かされることだった。

「何か、私の中で火がついたような気がします。これまで自分が学んできたことをもっともっと活かしていきたい、秋田での学びを全国の方に伝えていきたいと」

本社での一年間が終わったら、前の職場へ戻るのが通常の流れ。しかし、新城さんは秋田へ帰らないと決めた。総合職として、全国転勤する役に自ら手を挙げたのだ。この決断をするまでに、新城さんには大きな葛藤があったという。

「もともと東京に行く時、秋田で一緒に働いていたメンバーに、1年後に帰ると約束していたんです。突然一人が抜けた分大変なこともあるだろうに、私が帰ってくるまで待ってくれていて……。戻るはずだった私が戻らないことで、メンバーには大きな負荷や迷惑をかけてしまったと思います」