手順(3) 包丁の「裏」を研ぐ

刃の「表」が研ぎ終わり、「カエリ」が「裏」に出てきたら、今度はその「カエリ」を取る。

包丁の「裏」を砥石にのせる。このときは、包丁が砥石に対して真横で構わない。「表」と同じように、研ぐ部分に3本の指を当てて、前後に動かす。ただし、峰の浮きは「表」より少なく、10円玉を1、2枚はさんだ程度だ。「裏は軽く研ぐ。

『カエリ』が表にちょっと出たらおしまい。裏を研ぐときには、砥石の真ん中から先の部分を使うように。刃が外側を向くので、砥石の手前を使うと、刃が砥石の尻に引っかかってしまうことがありますから」

丁寧にやるには、「表」にわずかに出た「カエリ」を仕上げ砥で取るそうだが、刃を木の板に当てて軽く引いてやる程度で十分だという。砥石に木台が付いていれば、それを利用するのでも、かまぼこ板を取っておいて使ってもいい。

これで、刃研ぎは終了である。だが、実は、いい研ぎを続けるためには、もうひと手間必要だという。

手順(4) 砥石の手入れをする

砥石は使っていると、真ん中のあたりがへこんでくる。砥石は真っ平らでないとうまく研げないので、へこみを取り除いてやらなければならない。

3、4回使った中砥石は、できれば荒砥石で表面をこすってやるとよい。荒砥石がなければ、ホームセンターで売っているコンクリートの敷石やブロックで代用できる。「砥石の手入れを怠る人は多いですね。丁寧に使えば、厚さ3センチくらいの砥石が、数ミリになっても使えるものです」

石田さんによれば、小学生でも、「無理をさせないで、ゆっくり」とやれば、包丁は研げるという。実際、小学4年生を相手に講習したこともある。「子供の頃から、道具や手入れについてわからせることはいいことですね。そこそこのレベルのものを買って、長く使うことが身に付けば、物に対してまともな感覚が生まれます」

家族から「安物買いの銭失い」と嘲笑されている隊員1号の私には、耳の痛い調査となってしまった。