日本は「全く成長できていない国」になり下がった

次にGDPギャップ(図表3)。これは日本だけのデータになります。

【中村】ほとんどマイナスですね……ってことはデフレギャップで、需要不足ってことでしょうか。たまにプラスに転じてインフレギャップになりますが、すぐにマイナスに戻っています。

【森永】そうですね。日本は長らく需要不足、あるいは需要が超過してもほんの一瞬で、すぐにデフレギャップに戻ってしまっている、ということが言えます。需要が牽引するディマンドプルインフレにはほど遠い状態が続いています。しかも、日本のGDPギャップの計算には「平均概念の潜在GDP」が使用されているため、見かけのGDPギャップは小さくなります。それでもこれだけの需要不足ですから、深刻なデフレと言えるでしょう。では次に、GDPデフレーター(注)を見てみましょう(図表4)。

注:物価動向を測る指数の一つ。名目GDPを実質GDPで割ることで算出される。

【中村】1990年代後半から、ほとんどマイナスですね……たまにプラスに転じていますが、すぐにマイナスになっています。

【森永】GDPデフレーターは、コアコアCPIと同じく前年比で見るので、-1%が2年続けば基準年から約2%下がっていることになります。単年でプラスに転じたとしても、全体のマイナスをカバーしきれるほどではありません。なお、2014年と2019年のプラスは消費増税によるものなので、ディマンドプルインフレではないですね。

【中村】そんな……日本ってこんなに成長できていない国だったんですか……。

【森永】GDP、コアコアCPI、GDPギャップ、GDPデフレーター、どれを見ても、残念ながら日本経済は停滞していると言わざるを得ません。