誰でも自分の人生に大きな影響を与えた出会いがある。経営者たちの仕事人生に大きな影響を与えた「人・チャンス・言葉」がある。内田洋行社長・大久保昇氏にとっては、仕事を通じて知り合った仲間が、その後の会社の進む道までに大きな影響を与えたという。経済評論家・浜田敏彰氏が聞く。
(左)内田洋行社長 大久保昇氏、(右)経済評論家 浜田敏彰氏
撮影=鈴木啓介
(左)内田洋行社長 大久保昇氏、(右)経済評論家 浜田敏彰氏

高校ラグビーで自信を取り戻す

私は大阪府藤井寺市の生まれですが、父は和歌山市生まれでした。戦前は不治の病といわれた結核を患い、長い療養でしたが、神奈川にいた姉が養生のために引き取ると、自然に治癒します。神奈川で就職し、東京出身の母と結婚。戦後2人の兄が東京で生まれ、その後、父の兄が大阪で始めた工場を手伝うために大阪に移り、三男の私が生まれました。

そのころ、藤井寺の子供たちはまだ下駄履きです。東京弁を話し、運動靴を履いていた兄たちは、近所のガキ大将に運動靴を古墳のお濠に投げ捨てられても、すぐに言葉もなじみ、年が離れても一緒になって地域の子供たちで遊びます。7つ下の私もついて回っていたようです。

小学生になるころに大きな団地ができました。新住民が流入して藤井寺はベッドタウンに変貌します。団地の友達と遊びながら、クラスでは学級代表も務め、6年生には児童会長にもなりました。ただ、いざ一番前に出るようになると、何か落ち着かなくなってきたのです。中学生になると次第に控えめになり、前に出ないタイプになっていました。