公務員のボーナスの大幅減は去年のツケ
国家公務員に6月30日、夏のボーナス(期末・勤勉手当)が支給された。管理職を除く行政職職員(平均34.2歳)の平均支給額は約58万4800円で、前年夏に比べ約7万6300円、率にして11.5%減少した。
新型コロナウイルス蔓延による景気悪化から立ち直りつつある民間企業は、利益が大幅に回復し、夏のボーナスが大きく増えた。経団連の調査では、大手企業の夏のボーナスは加重平均で13.8%増えている。民間とのあまりの違いに不平を漏らす公務員も少なくない。
だが、公務員のボーナスの大幅減には明確な理由がある。公務員の給与は民間企業の給与を参考に、毎年8月に出される人事院勧告に基づいて決められる。昨年、人事院は、月給については民間より19円高かっただけだとして、据え置きを勧告したが、年間で4.45カ月だったボーナスについては、新型コロナの影響で民間が激減していたことを受け、引き下げを勧告した。ただし、わずか0.15カ月引き下げて4.3カ月にするという内容で、民間からすれば、あまりにも役人天国という内容だった。
しかも岸田文雄内閣は、昨年末までに必要な給与法改正を行わず、その0.15カ月の引き下げすら先送りしていた。新型コロナで打撃を受けた経済への影響を考慮する、というのが理由だった。
今年4月になってようやく給与法を改正、去年の冬に本来より多く支給されていた0.15カ月分が、今回の夏のボーナスから差し引かれることになった。今回の大幅減は、この影響が大きいわけだ。今年の夏の分も前年より0.075カ月減っているので、これを合わせると11.5%減となり、大きな減少となったように見える、というわけである。昨年、民間では、新型コロナでボーナスが軒並み減らされていたのを横目に、勧告より高いボーナスを受け取ったツケが回ってきたわけで、今回の削減は、時期がズレているにすぎないのだ。