複雑な商品の損得は考える必要もなし
では、金融商品や儲け話の真贋を見抜くには、どうすればよいのでしょう?
まずは相手の儲けを考えます。複雑な金融商品ほど二重三重に手数料がかかる仕組みとなっているもので、金融工学はある意味「手数料隠し」のために利用されているのが現状です。自分で価格評価ができる人は、計算してみる。結果、相手の計算が間違えている(自分が得になる)と確信が持てたときだけ買えばいいのですが、そういうことはほぼありえません。つまり、損か得かを「考える必要もない」ことがほとんどです。売りつける金融マン本人の給料は非常に高額ですから、それを客に負担させなければならないわけです。「あなたのために儲ける」というセールストークは、ほとんどが「あなたから儲ける」という意味です。
もう一つの方法としては、世の中一般の金利と比べてみることです。例えば国債の長期金利は現在1.3%ですが、それより1%以上高い利回りというのは何らかのリスクを負わないとありえません。ときには詐欺に近い場合もあります。年配の人にありがちなのが「過去の金利と比べる」商法に引っかかるケース。「年率40%の利息をつけます」といわれると、信用できないと思うけれど、「昔の定期預金の金利は4、5%ありましたよね、それくらいの利回りがあるといいですよね。元本保証ではないのですが、設定以来4.8%以上で安定的に分配金が分配されている商品があります」なんていわれると、興味をそそられてしまいがちです。その人が欲しいものを上手に提示するやり方も、騙しの手口です。
金融商品とは、市場から得られるリターンを、売り手と買い手で分けるようになっています。そして普通は、売り手が先に自分の手数料分を取って、残った分をリスクと一緒に買い手に渡す構造です。
何か儲け話を持ちかけられたとき、なぜ自分にすすめるのか。また、本当に有利で儲かる話なら、なぜ自分でやらないで他人に紹介するのか、と考えてみるといいでしょう。
そもそも、エビの養殖でも何でも、そのビジネスが本当に儲かるなら普通に銀行からいくらでも資金調達できます。何も会員を募り、10%もの高利を払ってお金を集める必要などありません。そんなビジネスに出資するということは、「カモです」とエントリーしたようなもの。胴元が儲けるには、釣った魚に餌をやらないどころか、釣った魚から搾取しなければいけない。餌だけ取って逃げられる人はいいのですが、人間も魚と同じく、そううまくは逃げられないものなのです。