お金の貯まる人と貯まらない人は何が違うのか。ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんは「お金が貯まらない人は、お金の将来プランを立てられていないことが多い。必要な貯蓄額がわかれば、コンビニの使い方も変わってくる」という――。
高く積み上げたコインの上にいる成功したビジネスマンと、数枚のコインの上に立つビジネスマン
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「貯金額の差は1000万円超」境遇は同じなのになぜ…

会社員の大嶋勇介さん(30歳・仮名)は、先日、一緒に働く同期の男性に貯蓄額を聞いて驚きました。自分の約20倍にも達していたのです。

大嶋さんは、大学卒業後に食品メーカーに入社し、現在の年収は約700万円ですが、貯蓄額は約50万円です。一方、同期の貯蓄額は1000万円。入社以来、大島さんは年間6万円ほどしか貯められていないのに対し、同期は年間125万円を貯めてきたことになります。

大嶋さんは「ともに独身で一人暮らし、年収も変わらないはずなのに……。僕もお金を貯められる人になるためにはどうしたらいいのでしょう」といいます。

結論から言ってしまえば、原因は「使いすぎ」です。「想定外の出費」とか「欲しいものがあった」などと、せっかく貯めたお金を知らず知らずのうちに取り崩しているのです。お金を貯められない人の特徴は、「貯めては取り崩す」を繰り返すこと。言い換えれば、自分が毎月一体いくらまでなら使ってよいのか、わかっていないのです。

コンビニに通う人はお金が貯まらない

ところで、読者のみなさんは、どのくらいの頻度でコンビニを利用しますか。お金を貯められない大嶋さんは「コンビニには非常によく行きます」と言います。

「特に買うものがなくてもちょっと立ち寄ったりします。会社に行く前、外回りをして会社に戻る前、会社の帰り、在宅ワークのときには気分転換に、休みの時や夜もなんとなく散歩がてらに……。ヘビーユーザーだと思います」(大嶋)

なるほど。お金の相談を受けている筆者の印象では、コンビニによく行く人ほどお金を貯めるのが苦手という傾向があります。

そこで大嶋さんに、「コンビニで買い物したレシートは必ず取っておいてください」とお願いしました。

ひと月後、大嶋さんは、厚みが1.8センチほどになったレシートの束を持ってきました。ご自身もその多さに驚いたと言います。今月も給料日前に予算を超えてしまい、せっかく貯めた貯蓄を引き出してしまったそうです。

レジに持っていく前に支出の目的を明確にする

筆者は、次に、コンビニで買い物する前に、「今買おうとしているものは、①生活に必要な支出、②自己投資のための支出、③心を豊かにするための支出の3つのどれに当てはまるか考えてください」とアドバイスしました。

例えば、ランチでお弁当を買いにコンビニに行きました。すると、特に買う予定もなかったけれど、週刊誌が目につきました。レジに持っていく前に「3つの仕分け」を頭に浮かべます。

まず、お弁当代は、①生活に必要な支出ですね。週刊誌はどうでしょう。必要な情報があり、②自己投資の支出なのか、お昼休みの気分転換のための③心を豊かにするための支出なのか、はたまたどちらにも当てはまらないのか。

「3つの支出」のいずれに当てはまらないのであれば、それは「ムダ使い」です。買うのをやめましょう。

さて、1カ月後、大嶋さんのレシートの束は1センチに減っていました。

「買い物をするたび、3つの仕分けをしてムダ使いをやめられました。惰性でコンビニに行こうとしたとき、『レシートの束』を思い出して行くのをやめたこともあります」(大嶋さん)

さらに1カ月後、厚みはさらに半分になり、4カ月目にはレシートは数枚になりました。今月は、貯金を取り崩す必要もなく、やりくりできました。