代理出産をテーマにした新刊『燕は戻ってこない』が好評の作家・桐野夏生さん。次々とパワフルな作品を生み出す桐野さんの執筆の原点、そして作家集団である日本ペンクラブ会長として成し遂げたいこととは――。
群衆の中でたった一人の女性
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執筆は連載の前回分を読み直すところから始める

——桐野さんの小説を読むと、魅力的なキャラクターと読者を惹き込むストーリー展開、そして「自分ならどうするだろう?」という余韻が残ります。書き始める際はどこまで結末を決めているのでしょうか。

【桐野夏生さん(以下、桐野)】意外と行き当たりばったり(笑)。連載の締め切りが近づくと、前の号の原稿を読み直すというところからスタートします。『燕は戻ってこない』も結末を決めずに書いていたので、展開を気にかける担当編集者から「完結はいつごろでしょうか……?」と尋ねられたことも。