お好み焼きチップス
お好み焼きチップス

——そんな遠藤さんが、“国民的おやつ”のポテトチップスの開発に携わることになった理由は?

開発部には、入社して工場で4年働いたあとに、配属されました。そこで「ポテトチップスの新商品をつくれ」という課題が出て、最初に作ったのが「お好み焼きチップス」でした。これがよく売れたんですよ。当時の味は塩、のり、コンソメが主流で、珍しかったんです。そして次に開発に携わったのが、『ピザポテト』です。お好み焼きが売れたから、似たような切り口で安易に「次はピザかな」と思っていたんですよ。そんなときに上司にチーズフレークを渡されて、「これを使ってみよう」と思いついたんです。これが結果的に、他社がまねのできないロングセラー商品になりました。こうしてポテトチップス開発に深くかかわるようになりました。

——大学での学びと、仕事の成果とのつながりはありますか。

私の場合はあまりないように思います。私は体育会で、テニスばかりやっていましたから。そういう意味では、継続する力ややり抜く力とかは身についたと思います。でも、農学部にいたことで、食品を扱う基礎は身に付いたと思います。研究では、栄養化学をやっていて、エサを食べさせたマウスのコレステロールがどう上がるかを調べていました。ポテトチップスの開発にかかわるようなことは学んでいないです。

——ヒット商品を多数生み出しています。他の人よりも優れている点は何だと思いますか。

味覚も嗅覚も、私は人より優れているものは持っていないです。アイデアがすごいわけでもない。ただ、人に言われるのは、一つの物事をコツコツとこだわりながらやり抜くようなところはあるみたいです。例えば、堅あげポテトは、あのカリッとした「食感」にこだわりました。あの食感を出すために、生産設備の改善など、時間をかけて何度も行いました。より生産性を求めてより多く生産するために機械を揃えましたが、満足のいく堅さが出来なかったので、結局は元の生産方式に戻したこともありました。