たくさんの「マッチングアプリ」があるのに、手間も費用もかかる「結婚相談所」はいまだに需要がある。どんな人が利用しているのか。結婚相談所を運営する仲人の高須美谷子さんが、「過去の恋愛をこじらせた36歳商社マン」の事例を紹介する――。
落ち込んでいる若い男
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どんな人が結婚相談所を利用しているのか

私は結婚相談所を運営している。これまでパーティーを主催する中でおよそ1000人以上の婚活者と出会ってきた。

初期費用は計10万円、成婚料金は30万円。プランに応じた月会費がかかる。今では安く手軽に始められるマッチングアプリがあるのに、アナログな結婚相談所にこれだけの金額を払う人がどこにいるのか、と思われるかもしれない。

しかし、結婚相談所を訪れる人は後を絶たない。

私のような仲人に婚活を併走してもらいたいとか、「このお相手で間違いない!」と背中を押してもらいたいという人がたくさんいるからだ。

どのように婚活をしているのか、事例を紹介していきたい。今回は36歳商社マンの男性だ。

過去を引きずったまま婚活を始めた36歳商社マン

中堅商社の営業マン、敦士さん(仮名、36歳)は、20代で味わった大失恋をずっと引きずってきた。別の女性と付き合っても元カノと比べてしまう。そんな影を背負って結婚相談所を訪れた一人である。

敦士さんは26歳の時に転職した会社で同期の千紗さん(仮名)と交際を始めた。

千紗さんは日本人離れしたスタイルの、華やかな顔立ちの女性だった。茶色く艶やかなロングヘアで颯爽と社内を歩く姿は誰しもの目をひき、ひそかに思いを寄せる男性は敦士さんの周りにも数多くいた。

敦士さんは、転職したてにもかかわらず、営業成績が良く、コロナ前にはしばしば催されていた社内のイベントを率先して担当していたことから、目立つ存在ではあったという。

あるイベントの幹事を2人で担当したことがきっかけで、敦士さんと千紗さんは急接近し、ほどなく恋仲になった。