貯蓄に回すという国民の判断は正しかった

総務省が発表している家計調査(図表4)をみると、定額給付金が振り込まれたと考えられる2020年6月に家計の特別収入は急増し、その翌月には家庭用耐久財と教養娯楽用耐久財への消費が急増している。巣ごもり需要と在宅勤務にも後押しされた消費であろう。

【図表4】定額給付金の消費効果
総務省「家計調査」のデータを基に株式会社マネネが作成。(注):特別収入は2人以上の世帯。その他は2人以上の勤労世帯。
森永康平『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)
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定額給付金を配ったところで貯蓄に回るから無駄というが、それは政府に対する不信感の表れだとも考えている。仮にコロナ禍が収束するまで毎月定額給付金を数万円支給するとコミットすれば、多くが消費に回ったであろう。

しかし、二転三転してやっと定額給付金の支給が決まり、その支給に対しても無駄だという発信を散々すれば、国民は「定額給付金は1回限りなのでは?」と疑心暗鬼になる。であれば一気に使うのではなく、少しだけ使って残りは貯めておこうという思考になるのは普通のことだろう。

そして、最初の定額給付金の支給から1年半以上が経過したが、結局2回目の全国民に対する定額給付金はいまだに行われていない。その結果、定額給付金の多くを貯蓄に回した国民の判断は正しかったということになってしまった。

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