大前 それが一番いい方法。さらに言えば、だからこそ教育を充実させることが重要なのです。低所得層が再び低所得層にとどまらない階層の固定化を防ぐためにも、社会人として立派に稼ぐ力が身につくようにする仕組みをつくらなければいけない。

統治機構と税制と教育は三位一体で考えるべきです。この3つに自治体が責任を持って初めて自立した地方自治体となりうる。

橋下 僕は大阪でカジノをやりたいと思っています。すでに世界的なカジノ資本から声をかけていただいていて、すぐに動き出せる状態です。ただ問題は、カジノ誘致に関する国の法律ができていない。

これはあくまで仮にですが、もし僕に税制をつくらせていただけるのなら、カジノで使った分には課税しない。その代わりカジノの収益からいっぱい税金を徴収して、それらを社会保障に当てればいいのですから。

極端に言えば、国民皆確定申告制度にして、愛人にマンションやダイヤモンドを買うようなお金も経費に算入できるようにすれば、もっとお金を使いやすくなる。どんどんお金を使わせておいて、付加価値税や消費税で取ればいい。お金の取り方の工夫が役人には何もないですよ。

大前 今、橋下さんがおっしゃったような税制に変われば、世界中からカネ、ヒト、モノ、情報が集まってくる。約4000兆円のホームレスマネーが魅力的な投資先を求めて、世界をさまよっているのですから。道州制が実現した際には、経済を動かしてそういうお金を呼び込める首長がいる道州と、呼び込めないダメ首長の道州では大きな差が出てくるのは当たり前です。

※すべて雑誌掲載当時

(小川 剛=構成 市来朋久=撮影)