大前 米大統領選挙で共和党の大統領候補指名争いで、ハーマン・ケイン候補が「スリー9(999)プラン」を提唱して一時、ブレークしました。連邦所得税、法人税、消費税の3つをすべて9%にしようというのが彼のプランです。
橋下 わかりやすい。いわゆる「フラットタックス」ですね。
大前 そう。彼は税のわかりやすさで注目を集めて、共和党候補のトップに躍り出たものの、女性スキャンダルで後退してしまった。
もし、日本でフラットタックスを導入するとどうなるか。私がシミュレーションしたところ、「トリプル8」で現在の国税の三大税収(法人税、所得税、消費税)の額はカバーできる。さらに三大税収を「20、10、10」で、法人税だけ今の半分の20%にして所得税と消費税を10%にすると、現在の税収総額(国税+地方税の約75兆円)を確保できます。他の税金は一切要らない。もし大阪都でこれが実現できたら、世界中から企業が殺到してきますよ。
橋下 本当にそう思います。今の税制はとにかくわかりにくい。統治機構にしても社会保障の仕組みにしても、わかりにくいことで役人の仕事が増え、役人の数はどんどん増えるんです。
フラットタックスの議論の際によく有識者の方々に言われるのは、そんなことをやると低所得者の税負担が増えるということです。そのためには所得の低い方にも一定の負担をまずしていただいて、税を徴収した後に今度は社会保障という形でバックすればいいわけです。