どの情報が自分に不足しているか分かっていない

筋の悪い質問を生んでしまう根本原因とは、一言でいうならば、「相手からの情報でどこが自分にとって不足しているのか気付けていない状態で質問をしてしまうこと」です。これが原因で、的外れだったり、抽象的な質問になってしまったりするのです。

そして、情報の不足に対して気付けるかどうは、自分が相手の情報を正確に理解できているかどうかに関わってきます。つまり、相手の説明をしっかり分かっているかどうかです。それでは、相手の説明を正しく理解しているかどうかを判断するにはどうしたらいいのでしょうか?

説明を正しく理解する「単語」「論理」「文脈」

これは、以下の3つの視点で自分の理解不足の有無を捉えることで、迅速な判断ができます。頭のいい人の筋の良い質問は、この3つの視点を意識しながら、「自分の理解不足が何かを正確に把握した上で、それを的確に補うための情報を得られる質問」と言えます。

視点① 単語(ワード)
視点② 論理(ロジック)
視点③ 文脈(コンテクスト)

ここからは、具体的な筋の悪い質問と筋の良い質問の具体例と合わせて、これらの視点を一つずつみていきます。

まず、視点①「単語(ワード)」ですが、これは、専門用語や業界用語、略語などを指します。相手の説明の中に、自分が知らない単語があった場合は、そこを質問します。

「この●●って、何ですか?」

このように漠然とした質問は筋の悪い質問です。得られる回答の精度や解像度を上げるために、以下のように質問します。

具体的な質問例としては、以下のようなものがあります。

「この●●って、なんの略ですか?」
「それは、具体的にどんなことを指しているものですか?」
「その●●という用語の定義だけ、念のため今擦り合わせてもよろしいでしょうか?」

会社の廊下を歩き仕事の話をする社員
写真=iStock.com/visualspace
※写真はイメージです

分からない単語はできるだけ潰しておく

もちろん、後から調べて分かることであればそれでもいいのですが、自社内の特有の用語やクライアント先にしか通用しない造語などはインターネットで調べても出てこない可能性があり、その単語だけを別の機会で質問するのもはばかられるでしょう。また、その単語が分からなかったり誤認していたりした場合、その後の説明内容がほとんど理解できなくなる可能性も出てきます。

そのため、分からない単語がでてきた際に、「その●●とは、一般用語ですか?」や「簡単にでも教えてもらえませんか」のように質問することで、自身の単語に対する理解不足を解消することができます。相手がクライアントや偉い人であれば、枕詞に「勉強不足で大変恐縮なのですが」とつけることで、単語に対する質問がしやすくなるでしょう。

続いて、視点②「論理(ロジック)」について説明していきます。