▼関谷さんからのアドバイス

同時通訳者 関谷英里子 せきや・えりこ●アル・ゴア元米副大統領やダライ・ラマ14世など、一流講演家の同時通訳者および翻訳家として活躍。著書に『ビジネスパーソンの英単語帳』など。

何かを学ぼうと思ったら、そのために身銭を切って投資するのを避けることはできません。しかし、お金をかければかけるほど、高い学習効果が得られるわけではないというのもまた事実です。大事なのは費用対効果、いかに効果的な投資を行うかではないでしょうか。それも、費用というよりは、投資した時間の費用対効果だと思います。

たとえば、仕事で使える英語を身につけたい人が、英会話教室で日常会話を学ぶところから始めるのは、投資効率がきわめて悪い。最初からビジネス英語を学ぶべきです。それから、あれこれいろいろな教材に手を出すのもやめたほうがいいでしょう。私の経験からいえば、教材はひとつに絞ってそれを徹底的に学ぶほうが、確実にいい結果が出ます。そればかりでなく、費用面での投資も必要最小限に抑えられ、まさに一石二鳥です。

有名講師を招いてのセミナーも、ただ漫然と参加するだけでは、費用対効果の悪い時間をすごすことになります。私は事前に下調べをして、これだけは聞きたいということをひとつ決め、当日は必ずそれを質問するようにしています。それにより予習にもいい緊張感が生まれ、聞きたいことだけでなく、周辺の知識も深まります。

そればかりではありません。質問というアウトプットが、講師やほかの参加者からフィードバックを引き出すという効果も期待できます。実際私は会場で質問したことがきっかけで、その講師から仕事を依頼されたことがあります。セミナー参加費という投資が何倍にもなって返ってきたのです。

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出典:gooリサーチとの共同調査「あなたの時間の使い方に関するアンケート」(n=1500万円以上306人、500万円台311人/2009年11月調べ)

費用をかけるのであれば、得たものを活かして仕事で回収するくらいの意気込みがほしいところです。また、せっかく勉強しても、それが不良資産となっていては元も子もありません。私はとくにそれを英語学習の分野に感じます。中学、高校時代に、少なくとも6年間という長い年月を使って英語の基礎を身につけたのに、その資産を使わず眠らせてしまっている人が、あまりに多いように思えるのです。

英語が苦手という人は、自分の頭の中にすでに十分な資産があるにもかかわらず、それを活かしきっていないだけではないか、よく考えてみてください。そして、その資産をいかに有効に引き出し、活用するかの部分に投資を集中させることをおすすめします。