老後は、毎晩明太子をつまみにハイボールで晩酌したい。年金は夫婦で1カ月20万円ぐらいになりそうだ。たまには旅行にも行ってハイボール&明太子ライフを楽しむためには35万円ぐらいかかりそう。じゃあ、理想と現実のギャップ月15万円を埋められるようにへそくろう、早めにとりかかることで、誰もが持っている時間の力を存分に活用しよう、という段取りです。

老後の時間は思った以上に長い

では、へそくり人は、どのように将来の見通しを立てているのか、それがわかる簡単な方法をご紹介しましょう。

まず、横線を引きます。これがあなたの人生の長さです。真ん中に60歳と書きます。赤いちゃんちゃんこを着てお祝いする還暦の60歳です。右端を「人生100年時代」にちなんで100歳とすると、左端は20歳になります。

20歳から真ん中の還暦までが40年、還暦から棺桶までも、同じ40年です。20歳の人は、現役時代と老後の長さがぴったり同じ、当然ながら20歳以上の人は、現役時代より老後の方が長くなり、40歳なら、還暦までの年数の2倍も老後があることがわかります(図表2)。

【図表2】人生を俯瞰して見る

セミナーでこの図を見せ、改めて老後の長さを体感していただくと、「ヤバい」「怖い」「マズい」「何とかしなきゃ」「今日からへそくり人になります」という方が続出します。

貯めるのが大変な1000万円も5年で底をつく計算

もっと「ヤバい」「怖い」「マズい」お話をします。もう一度、図表2をご覧ください。横の線が時間軸、縦の線が資産の軸のイメージで、上に行くほどお金が貯まっていることを表しています。仮に60歳で1000万円あるとしましょう。毎月16万円ずつ貯金を切り崩したとします。1000万円は何年で底をつくと思いますか。

1000万円÷16=62.5カ月

5年で無くなります。

1000万円貯めるのは、とても大変です。とりあえず老後までに1000万円貯められれば、ひと安心のような気がします。しかし、なかなか再就職先が見つからない、体調を崩して働けない、でも住宅ローンが残っている、家賃の支払いがある、子どもの教育費がまだかかるなど、足りない生活費を貯金でまかなおうと使い始めると、ご覧のとおり、あっという間になくなります。

こんなお話をすると、現役時代ならまだしも、老後はもっと節約できるのではないか、という方が多いので、もう少し詳しくご説明します。