相手の話に耳を傾けることで自己中心的な性格を克服できる

相手の話にじっくり耳を傾ける習慣を身につけると、自己中心的な性格を克服することができる。自己中心的な性格は人間関係では大きなハンディキャップになるが、相手に意識を向けると自分のことをしばらく忘れることができる。

自己中心的な性格では円満な人間関係を築くことはできない。2人の人間が衝突するのは、どちらかが相手のことを軽視して自分のことばかり考えているからだ。

心理学者は、利己的な本能を捨てるのではなく、自分のことから意識をそらすことが重要だと説く。そうすれば、利己的な本能をなくすことはできなくても、自己中心的な性格を克服できるからだ。

自己中心的な性格を克服するための従来のアドバイスの大半は間違っている。私たちは「自分本位であることは悪徳だから恥じるべきだ」と教わってきたが、すべての人が自分本位な傾向を持っているから、このアドバイスは理にかなっていない。

自己中心的な性格を克服する方法は、「自分本位であることは悪徳だ」と自分に言い聞かせることではなく、「相手の話にもっと耳を傾ける必要がある」と自分に言い聞かせることだ。

ノートに「Speak less listen more」と書き込み赤線をひく手元
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聞くことで相手の自尊心を満たすことができる

相手に最高の評価を与える方法のひとつは、相手の話に耳を傾けることである。辛抱強く聞くことは、「あなたの話は聞く価値がある」という意志表示になるからだ。そうすることによって相手の自尊心を満たすことができる。人はみな自分の発言は聞いてもらう価値があると思っている。

一方、相手の自尊心を最も傷つけることのひとつは、相手の発言を無視することだ。

妻が「夫は私の言うことをちっとも聞いてくれません。たとえば、私が『給湯器が故障して困っている』と言っても、夫は『あっ、そう』と言うだけで新聞を読み続けます」と不平を言うのを聞いたことがないだろうか?

あなたはこんなセリフを聞いたことがないかもしれないが、結婚カウンセラーは何度もそれを聞かされている。

従業員が「上司は悪い人ではないのですが、残念ながら私の話を聞いてくれません。私が抱えている問題について相談しようとしても、途中でさえぎって生半可な返事をします」と不平を言うのを聞いたことがないだろうか?

あなたはこんなセリフを聞いたことがないかもしれないが、社内相談窓口の担当者は何度もそれを聞かされている。

子どもが「親が僕のことをわかってくれません。僕が自分の気持ちを伝えようとしても聞いてくれないのです。僕をいつまでも子ども扱いして重要な問題とは思っていないのかもしれませんし、子どものあるべき姿について説教したいのかもしれません。いずれにしろ、僕のことなんてお構いなしです」と不平を言うのを聞いたことがないだろうか?

あなたはこんなセリフを聞いたことがないかもしれないが、少年鑑別所の係官は何度もそれを聞かされている。

人間関係のトラブルの主な原因は、相手の話を聞こうとしないことだ。

次のアドバイスを紙に書いて壁に貼り、その内容を肝に銘じよう。相手が子どもであれ大人であれ、小人物であれ大人物であれ、この原則があてはまる。人とうまく関わりたいなら、相手の発言にじっくり耳を傾け、相手が何を求めているかをよく知る必要がある。