親友だと思っていた人も、「優先順位」は変わる

そのことと関係してか、コロナ以降、欧米では「友人とは何か」や、「友人のつくり方」に関する書籍やポッドキャストが急激に人気になってきています。

書籍の中でも特に有名なのが、オックスフォード大学で進化心理学を研究しているロビン・ダンバー氏が書いた、その名も『Friends』という本です。

この本の中で、ダンバー氏は、友人にもいろいろなカテゴリと優先順位があることを、思い切って素直に認めていいのだ、それによって罪悪感を感じなくてもいいのだ、ということを提唱しています。どういうことでしょうか。

ダンバー氏によれば、コロナの最中に、SNSやスマホでつながっている膨大な「友人」の整理をするというと、多くの人が、どこか罪悪感を感じてしまうかもしれないけれど、そもそも、人間は、最も親しい友人なんて、同時に5人くらいしか持てないし、ライフステージによってその5人は変わりゆくものなのだから、この際、思い切って整理してもいいのだと言います。親しい友人なんて「変わっちゃうもの」として、受け入れようというのです。

いくら親友だと思っていた人も、ライフステージが変われば、「優先順位」なんて変わってしまうのが自然だし、これまでも人は人間関係を整理しているのだから、そんなに「整理」を恐れなくていい。コロナの期間に、親しさの優先順位が変わるのは普通だと、このようにダンバー氏は主張しているのです。

コロナによって、弱いつながりが失われ、「親しい人」の優先順位も変わってしまう場合もあるでしょう。それはとてもつらいことですが、受け入れるしかないのかもしれません。

友人関係を整理するためのアプリ

友達といえば、私がカルチャーショックを受けたのは、友人関係を「メンテナンス」するためのアプリまで登場したことです。「Call Your Friends」というアプリは、友人とどのような距離でどのような頻度でやりとりすればいいか、連絡を取るべきタイミングを「プッシュ通知」などで教えてくれる機能を持っています。

アプリをダウンロードすると、まずは現状のチャットのログから、あなたが、どの人と一番親しいのか、優先順位を解析してくれます。その中で、例えばあなたがAさんと友人関係を続けたい場合、このアプリはAさんに連絡を取るべきタイミングや、メッセージの内容について、アドバイスをしてくれるのです。

友人関係において、下手に連絡しすぎると「重い」とか、逆に連絡を怠ると「ちょっと疎遠だな」と思われたりするわけですが、そうならないように適切な距離感やタイミングを掴むのをサポートしてくれるわけです。

それをウェブの解析のごとく、PDCAを回しながら「友情メンテナンス」をするのです。いやはや。