新型コロナの感染が再び拡大している。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんは「感染の再拡大を受け行動規制の厳格化が復活しそうだする。支持率は過去最高を更新したが、投資家の支持を失えば日本経済の低迷は長期化する」という――。
「内閣支持率は過去最高」乖離が広がる世論と市場の声
政府は1月19日、新型コロナウイルスの感染拡大対策として東京と神奈川、愛知など13都県に「まん延防止等重点措置」の適用を決定する方針を固めた。19日に正式決定するという。
13都県が対象地域になれば、すでに適用されている沖縄・山口・広島とあわせて16都県になる。恐らく地域の拡大で、景気下押し効果は広範に及ぶだろう。
結局、何も変わっていないと失望した向きは多いのではないか。岸田政権発足当初は既に高いワクチン接種率を背景に行動制限に依存しないコロナ対策が打ち出されるとの期待が少なからずあった。
「普通の風邪と見分けがつかない」と言われるオミクロン変異株だからこそ、新しいアプローチは試行される余地があったように思えるが、岸田首相の「やりすぎのほうがまし」との言葉が端的に示すように行動規制の厳格化が再び復活する。
人流抑制の効果に疑義が呈されても行動制限を要求したり、既に市中感染が拡がっても厳格な入国規制を継続したりするのは、それが支持率上昇に寄与することが明白だからであろう。時事通信が1月に行った世論調査では51.7%と過去最高を記録している。
政権発足から3カ月間、目立った実績はない(むしろ先送りが目立つ)が、特筆されるものがあるとすれば、所信表明演説から強調される「コロナ対策>経済正常化」の優劣関係くらいだろう。
今回、一部の自治体(愛媛県など)が行動規制の効果を疑問視した上で要請しないと表明しており、筆者もそれが合理的と考えるが、現状の世相を考えれば、為政者としては勇気の要る判断と言える。