日本の総合診療医のフロンティアと評される医師が、北陸にいる。福井大学医学部附属病院 総合診療・総合内科センター長の林寛之さん(救急科・総合診療部教授)。どんな症状の患者も受け入れるが、「徒歩で救急に来る患者さんの中にも1000人に2~7人の割合で翌日に命を落としてしまうような超重症の方もいる。そうした人を見逃さないのが私たちの使命」と熱く語る。『プレジデントFamily』編集部が医師としての哲学を聞いた――。
福井県に総合診療医のフロンティアがいる
曹洞宗の大本山、永平寺で有名な福井県吉田郡永平寺町。田んぼが広がるのどかな場所に、福井大学医学部のキャンパスと附属病院が棟を連ねる。
その一角に2020年10月、総合診療医・総合内科医の教育拠点として「総合診療・総合内科センター」が開設した。愛称のGGG(トリプル・ジー)は、目指すべき医師像「Global General Good Doctor」の頭文字をとって名付けられた。
「スペシャリスト(専門医)ではなくジェネラリスト(総合医)を育成し、そうした医師を福井県だけでなく全国的に増やしていきたい」と、センター長を務める救急科・総合診療部教授の林寛之さんは語る。
NHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも取り上げられた、日本を代表する総合診療医の一人だ。
総合診療医とは内科・外科にかかわらずあらゆる症状を診られる医師のことだ。国内に約32万人いる医師の多くは、内科や整形外科などの専門医である。