2009年11月、「サーパス」ブランドで知られるマンション販売大手の穴吹工務店が会社更生法の適用を申請、倒産した。グループ3社の負債総額は1500億円超。ほんの2年前には、マンション販売戸数ナンバーワンを達成した有名企業の転落である。
借り入れをもとに用地を取得し、マンションを建てて販売する。いわば自転車操業状態にあるのが多くのマンション・デベロッパーである。ひとたび逆風が吹けば資金繰りに窮するのは自明の理。「日本一」の穴吹も例外ではなかった。
詳しくはあとで述べるが、住宅の販売業者が倒産しても、すでに購入している客には直接の被害は及ばない。だが、業者が倒産すれば少なくともブランドには傷がつき、物件の資産価値が目減りするのは間違いない。買うときは倒産しそうな会社を避けるのが賢明だろう。
折り込みチラシとメーンバンクに注目
では、どうやって「危ない会社」を見分けるのか。
企業の倒産情報を専門に扱う帝国データバンク情報部情報取材課の篠塚悟課長補佐が指摘する。
「倒産しそうな会社には、表面的な現象と財務面に兆候が表れます。たとえば売れ行きの悪い物件を抱えている場合、販売業者は同じチラシを繰り返し何回も折り込みますね。表面的な現象というのはそういうことです」
チラシのほかにはどういう兆候が見られるのか。篠塚氏も執筆陣に名を連ねる『[緊急版]会社はこうして潰れていく』(帝国データバンク情報部著)には、「取引先危険度判定シート」という長いチェックリストが付されている。目立った項目を引いてみよう。