組織図に職員教育の専門部署があるか確認しよう

もう一つ、良いホームの条件を記しておきます。

ほとんどの人が、ホーム選び時に際してほぼ無視していることですが、良い老人ホームは、職員教育に力を入れています。

ちなみに、ホームに対して「職員教育に力を入れていますか?」と聞けば、「もちろん、力を入れています」と、どのホームも回答します。しかし、私が知る限りはその逆で、多くのホームは「職員教育」に力を入れていません。正確に言うと、「職員教育どころではない」というのが本音だと思います。

外から見て、どんなホームが職員教育を熱心にやっているのかといえば、ホームや会社の組織図が確認でき、「教育部」「指導部」のような専門部署があるかどうかです。

さらに、その部署が、どこにあるかも重要です。教育に熱心なホームでは、社長など経営者の直下に置いているケースもあります。これは、「介護職員の教育は、社長である自分が直接、関わっていく」という強い意志の表れです。

もちろん、絵に描いた餅であることも少なくはないため、ちゃんと機能しているかどうかの確認は必要ですが、それは、施設長やホーム長をはじめとする現場職員と話をすれば、おおむね判断することができるはずです。

シニア女性と介護者
写真=iStock.com/byryo
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老人ホームにおける職員教育が重要なワケ

私が老人ホームにおいて、なぜ「教育部」という組織の存在が重要だと言っているのか、おわかりになりますでしょうか?

多くの老人ホームの場合、老人ホーム内で介護や看護業務を実施しています。そして、その介護と看護業務を実施している者が現場職員です。当たり前のことです。

つまり、現場職員は、ホーム内で提供される介護看護業務の「質」そのものだと言っても過言ではありません。現場職員の質が高ければ、そこで提供されているサービスの質も高い、という当たり前の事実がここにあります。

介護サービスの質を上げるには、介護職員の質を上げるこが何よりの大切、ということになるのです。そして、それを日夜、指導、教育をしている組織が恒常的に存在しているとことが重要になるのです。