1億円貯めた人は誰も「節約をしていない」という事実

私は今、新しい本を書いています。内容は主にサラリーマンで1億円以上の資産をこしらえた人の思考や行動習慣を取材し、論考している本です。実際に私が取材した人たちは誰もが50代までに1億円以上の資産をつくった人たちで、そのやり方はさまざまですが共通することは、誰も「節約をしていない」ということです。彼らは自分のやりたいことにはお金を惜しみませんが、必要ないことについては1円たりともお金を払いません。何が自分にとって必要で何が無駄なのかということをしっかりと見極めているのです。つまり「なんとなく消費」や自分にとってそれほど意味のない支出は厳しくチェックし、自分の好きなことにはお金を惜しまないというスタンスを貫いているのです。

ところが、そういった無駄な支出というのは無意識のうちに行われているため、自分ではなかなか気づかないものです。だから今までずるずると続けているわけです。そこでそういう無駄な支出を無くすにはどうすればいいのでしょうか。

家計簿をつけている家庭は1割

一番良い方法は家計簿を付けることです。それによって支出の中身が“見える化”されるからです。家計簿をつけるというのは「記録する」ということでもあります。ダイエットでも毎日体重を記録し続けることで成功するという例があるように、記録をつけることには一定の効果があることは間違いありません。

私自身、定年後の生活の不安を無くすために定年の2年前から自分で家計簿をつけるようにしました。当時は今のような家計簿アプリはなかったので毎日、外でお金を使うともらったレシートは捨てずにすべてポケットに入れ、夜帰宅したらそれを全部出してエクセルに入力する、という言わば力仕事をしていたのです。でもそのおかげで支出の内容が“見える化”され、そのことで安心して会社を退職して起業することができました。

ただ、実際に家計簿をつけるというのはかなりハードルが高いものです。現代では、家計簿をつけている家庭は1割ぐらいしかないと言われています。そこで、簡単にできるようなノウハウや続けられる家計簿のつけ方みたいな記事もいたるところで出ています。そういうものを参考にしてもいいのですが、私は家計簿アプリを使うのが最も簡単で有効なのではないかと思います。私自身も今は家計簿アプリを使って収支のチェックおよび資産管理をしています。