【前倒し化】仕事を寝かせる時間を確保できているか
●野口さんからのアドバイス
小学生には、翌日の授業で必要な物をまずランドセルに詰めてから遊びにいくタイプと、当日の朝家を出る直前にバタバタと準備するタイプがいます。いっけん直前に集中してやる当日の朝タイプが効率的なようですが、もし途中で忘れ物に気付いて取りに戻るなどをしたら、結局は余計に時間を費やすことになります。これは大人も同じです。小学生の例をもとに、仕事を前倒しで進めることを私は「ランドセルサイクル」と呼んでいますが、このランドセルサイクルを習慣の中に組み込むことで、漏れ・抜け・無駄が減り、スムーズに仕事が進みます。
私は講演資料やレポートを締め切りの1週間前に一度仕上げることにしていますが、それはなぜか。仕上げた後も内容が気になって、街を歩いたり雑誌を読んだりするたびに「この情報を追加したら説得力が増す」というように、さらに中身を深めることができるからです。
ランドセルサイクルを習慣にしてしまうと、まわりの人の知恵や力を最大化することも可能です。たとえば上司への提案書を、企画が実現できるギリギリのタイミングで提出して意見を聞いたとします。上司はたくさんの仕事を抱えているので、いきなり提案書を渡されてもすぐには頭が切り替わらないものです。適切な助言ができず、生煮えのままゴーサインを出すかもしれません。他人の知恵を引き出したければ、相手にも熟成期間を与えるべきです。
では、逆にギリギリのタイミングで仕事を指示されたときはどうすればいいのか。意識したいのは相手の期待値を確認することです。時間に余裕がないときは、相手も漠然とした指示を出しがちです。それをそのまま受け止めて作業を始めると、本当は3時間で済む仕事に10時間かけてしまうことになりかねません。
かといって、ゼロから説明を求めると相手に負担がかかり、仕事を振られた意味がなくなってしまいます。大切なのは、「この仕事の目的はこうだから、ここを押さえればいいですよね」と自分なりの仮説を立てて質問することです。