嘉悦大学教授 高橋洋一●1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒。80年大蔵省入省。内閣府参事など歴任後、2006年から内閣参事官。07年「埋蔵金」を公表。08年退官。著書は『 財務省が隠す650兆円の国民資産』など多数。

野田佳彦首相は、G20で「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」ことを明言した。東日本大震災の復興財源とする所得税増税などの臨時増税と合わせ、野田政権下で増税一直線に進行中だ。それは、知識がなくて口だけうまい首相が3人も続く民主党政権が、常日頃から増税しか頭にない財務省にうまく転がされているからだ。

財務省が狙っているのは、当面の復興増税とその後の消費税増税である。3年間ほど復興財源のための臨時増税が行われ、その次に社会保障のための消費税増税というわけだが、これは野田首相が国際公約までしてしまった。この2つの増税は復興と社会保障に回るので、すぐには財政再建につながらない。その後に、本格的な財政再建増税という、三段階増税を目論んでいる。

まず当面は復興増税だが、復興基本法では、復興債を発行して、それを3年間くらいの短期間で償還する財源は増税とされている。経済学のクッション理論によれば、大震災のような一時的なショックに対応するのは課税の平準化、つまり長期にわたり償還する国債での対応である。100年に1回の大震災なら、増税ではなく、100分の1ずつ償還する100年国債が基本になる。ところが、復興基本法の国債発行は増税が目的で、「つなぎ国債」でしかない。