日本だけでなく、中国や欧米の富裕層が、絵画やワインなどを数多く購入していることはよく知られています。

自分の美術的感性に合う絵画を手に入れ鑑賞する、あるいは思い入れのある年のワインを買って記念日などに嗜む、といった趣味の側面ももちろんあるでしょう。しかし、そこには、投資の側面から見た深い思惑があると、『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』の著者である北村慶氏は言います。富裕層が絵画やワインなどを購入する理由を一言で表すと、「資産総額を減らしたくないから」なのだそうですが、これはどういう意味なのでしょうか? 北村氏にその真意を聞きました。

ガラス戸に並ぶワインのコレクション
写真=iStock.com/Bill Oxford
※写真はイメージです

お金持ちがますますお金持ちになるMPT理論

筆者が証券アナリストとなるための試験を受けた際に学んだ投資の基本理論があります。それが、MPT、モダン・ポートフォリオ・セオリーです。

ポートフォリオ(Portfolio)とは、書類入れ、書類を運ぶためのかばんを表し、個々の書類を別々に扱うのではなく、書類全体をひとつの物として扱うという意味を持っています。

資産運用においても、株式や債券、不動産といった様々な資産を別個のものと捉えるのではなく、ひとつのかたまり、まとまり(ポートフォリオ)として考えることが重要と言われています。

このMPT理論によれば、資産運用においては、相関係数が低い資産を組み合わせることでリスクを抑えた運用ができます。

すなわち、ある資産Aが値上がりする時には値下がりする資産B(両者の相関係数はマイナス)を組み合わせたり、Aの値動きに全く関係がない(相関係数ゼロの)資産Cを同じかばんのなかに入れたりすることで、安定したリターンが得られる(損のしにくい)ポートフォリオとなります。

何が起こっても資産が減らないように

富裕層の多くは、すでに株式や不動産などの資産をお持ちであり、それらとは異なる値動きをする資産を持つことでリスクを抑えたいとお考えです。