「あとちょっと」その踏ん張りが腫れのもと
毎日排便があるのに痔になっている人に多いのが、トイレに行ったものの残便感があるために、もう少し頑張って出そうとして、ついついトイレの時間が長くなっているパターンです。
「あとちょっと頑張ったら出そう……」と力を込めていきんで、出残り便を出そうとすると肛門が腫れてしまいます。無理矢理いきんで出すことは肛門に負担がかかり、腫れのもとになり、痔を発生させるきっかけとなるのです。とくに、これはいぼ痔が発達している人に多い習慣です。
出残り便を出そうとして、無理矢理いきむのはやめましょう。残便感があっても、一旦トイレから出てください。そして、水を飲む、軽く体を動かす、運動をするなどして、再度便意を感じたらトイレに入り直すようにしましょう。
ゆっくり息を吐いて10秒以内でいきむ
「どれくらい、いきんだらいいのか?」「どのように、いきんだらいいのか?」という質問を、患者さんからよくいただきます。こんなとき、実演することも難しいため、次の言葉で説明しています。
息止めて青筋たてていきまない
いきまないと、便は出ません。ただ、いきみ「すぎる」ことはよくありません。腹圧をかけて強くいきむと、肛門がうっ血して腫れてしまいます。また力を入れると肛門の穴がギューッとしまり、かえって便が出にくくなることも……。
そのような場合は大きく息を吸い込んでお腹を膨らませ、体の力を抜き、オシリの穴が開いているのを感じながら、ゆっくり息を吐いていきんでみてください。深呼吸をして息を吸い込むときにオシリの穴が開くので、呼吸を利用して排便すると出しやすいでしょう。
なお、短時間で少しいきむくらいであれば大丈夫です。1回のいきみは10秒以内で、正しくいきんで排便するようにしましょう。
行きたくなったら、すぐトイレへ
便意を感じたけれど、今はトイレに行けないから我慢……。あとでトイレに行ったら便意もなければ、いきんでも出ないという経験を一度や二度したことはあるでしょう。
電車の中、授業中、試験中、接客中、会議中など、社会生活を送るうえでトイレを我慢しなければならない状況は年齢に関係なくあるでしょう。トイレを我慢することは「都合」かもしれませんが、カラダにとっては「不都合」です。
便意を我慢して、あとからトイレに行っても、「排便反射」がない状態で便を出さないといけないため、無理矢理いきんで便を出すことになり、まったく便が出なかったり、出ても全部出し切れずに残ったりするのです。