──中国からのサイバー攻撃にはどう対処するか。
経済大国となった中国は、国際ルールを守り、大国としての責任を果たすことが極めて重要だ。これは日本経済だけでなく、世界経済の発展にとっても重要になる。
サイバーセキュリティーに関しては、アメリカだけでなく、同じ考えの国々とも緊密に連携する。官民一体の取り組みになるだろう。アメリカとの間ではハイレベルな機会を活用したい。中国ともコミュニケーションを続け、問題を一つひとつ解決しながら、日本の立場を主張するべき場面では主張する。
──中国をルールに従わせるために、日本は何ができるか。
貿易や最先端技術をめぐる競争などの問題は、国際社会も懸念している。(中国との)考え方の相違もある。日米の信頼関係を基に、協力していくことになる。
サイバー攻撃や安全保障などの分野は特に、同盟国や、同じ考えの国々の協調がとても重要だ。中国が関与するこれらの問題は、協調して対処する必要がある。
──中国から撤退して日本国内や東南アジアにサプライチェーンを移す日本企業に、補助金を出している。
安定したサプライチェーンは、安全保障の観点からも非常に重要だ。単に中国を切り離そうというわけではない。しかし、企業がサプライチェーンを日本国内に戻すことや、海外のサプライチェーンを中国からASEAN(東南アジア諸国連合)諸国に広げ多元化を図ることを支援している。
──台湾をめぐり米中が対立した場合、沖縄の潜在的な脆弱性をどう考えるか。
沖縄の人々は日本国民であり、従って沖縄を防衛するのは当然のことだ。沖縄には多くの米軍基地がある。日米同盟に基づいて、沖縄が確実に守られる。これは日本政府の非常に重要な目標だ。
──日本の防衛費についてどう考えるか。
安全保障をめぐる環境は厳しさを増しており、日本国民の命と平和な暮らしを守ることは、政府の最も重大な使命だ。宇宙やサイバー空間、電磁スペクトルなど全ての領域で、日本の能力を有機的に統合して防衛力を高めていく。
厳しい財政状況でも、必要な防衛費は予算化されるだろう。ただし、改めて言っておきたいのだが、日本政府は防衛費をGDPの1%以内に抑えるというアプローチは取っていない。
──バラク・オバマ米政権(当時)が最初に提案したTPP(環太平洋経済連携協定)に、アメリカが復帰することを期待しているか。
アメリカが提案したTPPにアメリカが参加しなかったことは、非常に残念だ。今は日本が主導している。イギリスなどほかの国々も参加を希望している。自由貿易の拡大は非常に重要であり、多くの国がTPPに参加することは戦略的にとても重要だ。
今年は日本が議長国として、自由で公正な貿易の促進に努める。率直に言って、私はアメリカのTPP復帰を望んでいるが、それには困難もあると理解している。