グローバルで通じる、多様性を前提としたやり方(根本となる思想、コミュニケーション、ビジネスの進め方)を、私は「グローバル・モード」と呼んでいます。これは、グローバル社会だけでなく、社会の多様化が着実に進み、“多様性のダイナミズム”を活かすダイバーシティが重視されつつある日本の企業においても、大切なものと考えております。会議1つとっても、出席者の多様な英知を結集することができます。

脱日本型「グローバル・モード」のススメ

仕組みを変えればアイデアが生まれる

グローバル・モードの会議のために工夫できることを、ここでは5つ紹介します。まず1つ目は「アウトプットを起点とする」ということです。

日本企業の生産性が低い原因の1つに「ムダな会議」を挙げる人がいます。明確な議題がなく、「とりあえず関係者を集めよう」と開かれる会議は、仲間内の慣れあいのようなもので、多様な才能を持つプロフェッショナルが集い、何かを創り出す場とはなりにくいかもしれません。

会議の主催者は、なぜ、この会議を開くのかをよく考え、特に「アウトプットは何か」といった根本的なところを明確にする必要があります。そうすれば、おのずと①議事(アジェンダ)と、②事前準備が明確になります。当日の会議においては、何をどういう順番で話すのか、という議事と、そのために会議の前に参加者にやっておいてほしいこと──多くの場合は、資料の読み込みや、事前に自分の意見を整理してもらうこと──がはっきりします。

議事がきっちりと定義されており、メンバーも事前準備に入念な会議は、進行もぶれず生産性も高くなります。さらに、参加者はこの会議自体にも、会議を招集した人に対しても評価を高くするでしょう。そこで、さらにそれを強調するための、2つ目の工夫が「アイスブレーク」です。

公私をビシッと分けたい私たち日本人は、会議の冒頭からいきなり仕事の議事に進む場合が多いかもしれません。ところが、いきなり議題に入ると、それこそ「仕事のためだけに集まっています」「あなたたちには興味がありません」ととられかねません。せっかくのチーム員の関係構築の機会が台無しです。お互いの緊張をほぐし、ミーティングを円滑にするためにも、少し雑談をしてみるのです。当然、アイスブレークは日本人同士の会議でも有効です。

「雑談って何を話すの?」とよく聞かれます。今はZoomなどのオンライン会議が多いと思いますが、例えば、Zoomの背景を見て、「○○様は、本日はリモートワークですか?」というお互いに共通したものの話からだと入りやすいですし、クスッと笑える小ネタを用意しておけば最強です。オンライン会議なら、「私の声、聞こえていますか? マイクがオフだと気づかなくて、ひとりで懸命に喋っていることがよくあるんですよ」と失敗談を話します。少しスキを見せて、「この人、自分の間抜けなところも話す気さくな人だな」と親近感を持ってもらえればアイスブレークは成功です。

緊張をほぐすアイスブレークを忘れずに