狭い日本こそキャンピングカーで行くべき場所ばかり

「そんなもの買っても、思ったほど使わないのでは?」という人に、そう思う理由を尋ねてみたことがある。その人は、「長期休暇が取れないから」「アメリカなどと違って日本は狭い。どこへでも交通インフラが整っているから」と言っていた。

たしかに日本の会社には、欧米のような長期休暇はない。が、年間の日曜日と祝祭日数を数えてみると、実は世界でもトップクラスに休日の多い国なのだ。まとまった休みこそ少ないが、ちょいちょいと短い休みがふんだんにある、というわけだ。

その短い休みを利用して遊ぼうと思ったらどうするか。目的地を決め、宿の手配をし、交通手段の時間を調べ、座席の確保に奔走する。もしくは手ごろなツアーを探す。前々からそうした準備をしなければ遊べないだろう。その点、キャンピングカーは単なるマイカーだ。何曜日だろうと何時だろうと、出かけたいと思ったらエンジンをかけるだけだ。

「狭い日本、キャンピングカーなんぞでどこへ行く?」についても反論させてほしい。

確かに日本は狭い。半日も走れば隣の県に出てしまう。だが、その狭い国土に、多彩な文化がギュッと凝縮しているのが、日本である。一山越えれば、そこには違う温泉が湧いている。うどんの出汁の色だって変わる。旬の魚、野菜、果物。宿の豪華な食事ももちろんいいが、地方の名店を食べ歩く旅だって、寝床を持参する旅なら自由自在。一泊二日の短い休日、遠くへ行かなくても十分に、旅気分が味わえるというものだ。

「究極のインドア遊び」の道具

さらにもう一つ、付け加えたいことがある。キャンピングカーと聞いて反射的に「アウトドア趣味はないし……」と反応する人がいるが、それは大きな誤解ということだ。現に20年も乗っている私は、アウトドアにはまったくと言っていいほど興味がない。私に言わせれば、キャンピングカーとは「究極のインドア遊び」の道具なのだ。

テントを背負って自然に分け入り、川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾ける。それがアウトドアの楽しみだが、当然、暑さ・寒さもそのまま体感することになる。一方、キャンピングカーは炎天下だろうが氷点下だろうが、室内は適温に調整されて快適そのもの。悪天候だからといって、濡れて震える心配もない。わが家はかみさんがアウトドア派なので、彼女が外で自然と戯れている間、私は涼しい車内で読書三昧、なんていう過ごし方もアリだ。

快適さを求める人は、小型トラックに専用の居室を架装した「キャブコン」がおすすめ。客室部分が広く、寝室空間も独立している。
写真提供=日本特種ボディ
快適さを求める人は、小型トラックに専用の居室を架装した「キャブコン」がおすすめ。客室部分が広く、寝室空間も独立している。

自然を感じたければキャンプ場へ。温泉巡りや観光旅行がしたければ、街にほど近い場所に停泊場所を求めればいい。キャンピングカー愛好家の間でも、アウトドア派もいれば、シティ派も多い。そもそも、あなたの「家」を持ち運ぶのだから、アウトドア遊びと決めつける必要すらないのである。