無料の人気記事、有料でも読まれる記事の違い

皇室関係の記事も長く読まれる傾向にある。何かのきっかけで思いもよらぬ稼ぎ方に気づかされるのもデジタルの面白いところだ。こうしたアーカイブ記事の有効活用は、今後ますます重要になってくる。ただし、先んずれば人を制す世界だから、世の中の状況に素早く反応しなければならない。過去のスクープ記事でも、新たな動きがあれば即座に再掲載している。

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写真=iStock.com/NanoStockk
※写真はイメージです

記事の選別も重要だ。週刊文春でよく読まれる記事と、文春オンライン上でよく読まれる記事は違うし、オンライン上でも無料で読まれる記事と、有料で読まれる記事は違う。こうしたノウハウは、やればやるほど蓄積されていく。

無料で読まれるのは、酒の席でも話題になりやすい記事だ。ちょっと話のネタに読んで見ようか、と思わせるもので、「読む将棋」や「売春島」シリーズ、「ナゾの終着駅には何がある」「事故物件」シリーズは人気だ。

逆に有料で読まれる記事は、どうしても「知りたい」「見たい」と思わせるものだ。これはやはりスクープ、特に芸能人の記事が強い。『GAFA 四騎士が創り変えた世界』(スコット・ギャロウェイ著、渡会圭子訳、東洋経済新報社)によれば、大事なのは、人間の脳みそと心と性器をつかむことだ。

「知識欲、感情、性欲」を刺激する

脳みそは知識欲、知りたいという欲望。心は感動したい、泣きたい、あるいは怒りたい、喜びたいという欲望。性器は要するに性欲だ。そのどれかを刺激すれば、人はクリックする。つまり数字を上げ、稼ぐことができる。GAFAは人間の本能を支配しているから強いのだ。

文春オンラインは、書籍でいうと、新書の読者と重なる部分が大きい。新書は、身近なテーマをわかりやすく解説するものが多いが、オンライン上でもそうした記事は人気が高い。だから新書を出している出版社に連絡をして、文春オンラインに紹介記事を出しませんかと提案することもある。

最近は、文春オンラインが大きく成長したこともあって、出版社からの売り込みも増えておりコミックなども紹介するようになった。紹介記事にはアマゾンのリンクを貼って、記事を見た読者がすぐに購入できるように誘導する。

文春オンラインで紹介されてアマゾンの順位が急上昇すれば、記事を提供してくれる出版社にとっても大きなメリットがある。われわれはそれでさらにページビューを稼げるから、Win‐Winの関係だ。文春オンラインも週刊文春同様に、磁石のようなプラットフォームを目指しているのだ。