共通テスト1日目の感触最悪。号泣して母親のセーターはぐしゃぐしゃ

「東大に受からないと後がない」

理子さんは入試が差し迫ってくると、そんな切羽詰まった気持ちだった。直前期の12月ごろからはおなかが痛くなることが増え、眠れない日が続いた。眠れない日はその不安を払拭すべく机に向かう。つらいときこそ勉強する。理子さんの根性を感じる行動だ。

そんななか大きな支えとなったのが、冒頭でも述べた、「子供の可能性を信じる」裕子さんの姿勢だ。

理子さんの勉強が不調のときは愚痴を聞く役割を担ったのも裕子さんだ。高校3年生の東大模試で、春は良かったのが、その後、秋になり落ちてしまったとき、理子さんはふさぎ込んでしまった。裕子さんは「東大だけが大学じゃないから」と少しでもプレッシャーを軽くするように声をかけた。

ついに迎えた本番の試験、1日目の感触が最悪だったと理子さんが泣いて帰宅して母親のセーターをぐしゃぐしゃに濡らした。

そのときも「あなたなら大丈夫、浪人して来年再チャレンジしてもいい」と安心させ、「だから、全部終わるまで力出しておいで」と励ました。それがなかったら、今回の合格はなかっただろう。そうした冷静な声かけは、裕子さんが理子さんに全幅の信頼を置いているからできたことだ。

鉄棒で何度も練習する子の姿「この子は、なんて努力家なんだろう」

見事、娘が現役で合格した今、裕子さんは言う。

「娘はまじめで、どんな難しいこともやり通す努力家です。娘が小学校低学年の頃、学校の体育の授業で逆上がりをしたけれど、できなかった。そこで、『できるようになるまで、私やる』と自宅近くの公園の鉄棒で何度も何度も練習しました。それも、野球選手がバットの滑り止めに使う、ロージンバッグという白い粉を使って、体じゅう、真っ白になりながら、成功させました。そのとき、私は『この子は、なんて努力家なんだろう』って思いました」(裕子さん)

©Norifusa Mita/Cork

裕子さんは、理子さんを「信じるに値する子」と言う。東大受験本番でも、理子さんが落ちるというイメージはなかったと言い切る。

そう、理子さんの一発逆転は裕子さんだけは、予感していたかもしれない。

裕子さんは、受験勉強中、肉いっぱいのミートソースや、鰆の西京焼き、本格的なインドカレー、香港仕込みの絶品チャーシュー……理子さんの好きな料理を作って胃袋からも応援した。理子さんは、裕子さんというパワフルな存在があるからこそ、思い切って自分のやりたいことにチャレンジできるのだ。

“子供の可能性を信じる”

できそうで実行するのが難しいことを裕子さんはずっと前から実行している。

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