誰しも必ず持っている「好き」と「嫌い」の感情。「嫌い」の感情は特に、目を逸らしたくなるもの。人気コピーライターの阿部広太郎さんは、感情に素直に向き合うための一風変わったワークショップを行っています――。
※本稿は阿部広太郎『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
「好きな人」「嫌いな人」に名前を付けてみよう
素直な感情を自覚するためにやっているワークショップがある。
「好きな人」と「嫌いな人」に名前をつけてください。
「好き」と「嫌い」は、言葉になりにくい感覚的な部分も多いけれど、「好きな人」と「嫌いな人」であれば比較的イメージしやすいのではないか?
自分の気持ちを一度見つめてみよう、というのが狙いだ。止められてもまるで磁石のように引き寄せられていく「好き」という感情。一方で、1ミリでも遠ざけたい、そうはなりたくないと心から叫びたくなるような「嫌い」という感情。
磁石のN極とS極のような、両極端にある感情を見つめることで、自分が浮き彫りになっていく感覚がある。
生きてきた中で、出会ってきたたくさんの人たち。「好きだなあ」としみじみ思う人もいれば、一方で、「二度と会うもんか、嫌いだ!」と思う人もいたはず。これは決して、好きな人、嫌いな人の実際の名前を書いてください、という問いかけではない。
自分の内面をのぞき込むように「好きな人」と「嫌いな人」を思い出していく。
そして、心に浮かんだその人物像に名前をつけてみたい。
それはどんな人なのか?
「好き」や「嫌い」は、どんな共通項を持っているのか?
あなたならどんな名前をつけるだろうか?
実際にコピーライター養成講座のワークショップで名付けた例を見てもらいながら話を進めていく。