そして3つ目は、「環境・社会課題解決へのさらなる貢献」です。気候変動対応や政府の推進するグリーン成長戦略は、すでに環境問題への意識喚起から産業構造の転換へとステージが移行しています。銀行としては脱炭素化やサプライチェーンの見直しなど、中長期的な視点で的確なソリューションを提供していきたいと考えています。

今、銀行はビジネスモデルの転換を

今、銀行はビジネスモデルの転換を迫られています。超低金利はこのまま恒常化するでしょう。そうした中で銀行はどのように収益を上げていくのか? 従来通りのやり方では、生き残っていけません。常識に逆らうことも必要なのです。もちろん、預金をお預かりして必要とされる方に適正に融資する業務は、これまで通りしっかりと行ってまいりますが、これだけで収益を強化していくことは不可能です。

では、どうするか。解決策はお客様の経営課題にしっかりと寄り添っていくことです。脱炭素化や新型コロナ対応など経営環境がこれだけ激変している中で、今、課題を抱えていない企業はないはずです。いかに変化に対応し事業を継続していくのか──。新規事業に踏み出す、業態転換に舵を切る、他社との協業に踏み出すか、他社との協業に活路を見出す、M&Aという選択肢もあるかもしれません。そうしたときに、銀行が将来を見据えた的確な提案をさせていただけるようにならないといけない。そこでは我々がMUFGのグループとしての強みを、いかに発揮できるかがカギになります。

そうした問題意識の中で、銀行本店ビル(東京・丸の内)を「MUFG本館」に建て替える構想を持っています。現在、MUFGの銀行/信託銀行/証券の各社では、丸の内/大手町の9拠点に1万9000人が勤務しています。新型コロナ対応で(銀行本店は)出社率が40~50%までになっています。これは新型コロナが収束しても、100%には戻らないでしょう。そこでデジタルもフルに活用しながらグループ各社の本社機能を新しいビルに集結し、グループ一体での提案や決定をスピーディに行えるようにしていく。

常識にとらわれない、我々の新しい姿に期待していてください。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)
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