ここ数年で発売された高層マンションは、ファミリータイプで100平方メートル前後。年々狭くなっている。投資目的で買われているものが多く、夜に明かりが灯るのはほんのわずか。ゴーストマンションは、バブル崩壊の墓標になるかもしれない。

世界的な地価と株価の値下がり。アメリカでは、不動産業者が「いまが買い時」と盛んに訴えている。極東の小さな国でも、かつてそんなことがあったのだが。

世界的な地価と株価の値下がり。アメリカでは、不動産業者が「いまが買い時」と盛んに訴えている。極東の小さな国でも、かつてそんなことがあったのだが。

庶民の多くは、比較的古いマンションや小さな一戸建てに住む。以前、上海で中国人の知人宅に泊まったことがある。間取りは2DKで60平方メートル前後だったろうか。広さは日本人の住まいと大差ない。

玄関のドアを開ければすぐにリビングで、壁際に家族の靴が並んでいた。もともと中国では、靴を脱いで家に上がる習慣はなく、いきなりリビングは、古い中国の家の名残らしい。バスルームはシャワーがメイン。欧米の家に見られる陶器のバスタブが置かれているだけだった。これが中国都市部に暮らす庶民の一般的な住まいだ。

中国に次ぐ巨大市場として注目されるインドでも、不動産バブルの崩壊に直面している。

この2~3年の間に、デリーやムンバイなどの大都市周辺で再開発が進み、中高層マンションが建設され、経済発展で誕生した新富裕層や海外企業の駐在員などが多く住む。ファミリータイプは150平方メートル前後の広さが多い。これをデリーで借りると月額20万~40万円。一戸建てでは50万円を超えるものもあるという。

現地の日本企業駐在員の話では、同規模の広さのマンションの販売価格は、2003年前後で1200万~1600万円だった。その後、3~4倍に値上がりし、新築では7000万~9000万円の物件もめずらしくないそうだ。インドでは住宅のインフラ整備が遅れているため、まだ不動産価格の急落は見られないというが、今後の価格下落は間違いないだろう。

米欧アジアの順で不動産バブルがはじけた。将来、地価が底を打ったとき、世界のマイホーム事情は様変わりするのだろうか。

(撮影=久間昌史)